地域格差が学力格差を生む

4月11日に全国学力・学習状況調査が実施されました。教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図ることが主な目的です。そのため、調査結果から地域格差が判明したとしても、文部科学省は教育政策として格差是正の方法を考えるしかありません。
ここで、昨年度の調査結果のグラフをご覧ください。小学校の算数Aの正答数の割合を都市部とへき地で比較しました。大きな差はないように見えるのですが、15問、16問と正答数の多い層に差異が見られます。特に全問正解者の割合は大都市がへき地より3.7ポイント高い結果となっています。また、正答数の少ない4問から13問は、へき地が大都市より割合が高くなっています。つまり、へき地では学力優秀者が少なく学力の中間層以下が多いと言えます。
それはなぜでしょう。前回、引用した平成28年度家計調査の補助教育費を大都市と地方都市で比較すると、支出額に2.4倍の差がありました。へき地では、学習塾に行きたいと思っても近くにないため塾に行けない場合もあります。市場原理に任せれば、子供の数が少ない場所に塾をつくっても収益が少ないと考えるため、その結果へき地に塾はほとんどありません。教育に市場原理を持ち込むと、このような結果が顕在化する象徴的な事象だと思います。
この結果を改善するために文部科学省としては、へき地教育に力点を置く政策を考えなければなりません。しかし、へき地の現状は学校の統廃合となっています。経済原理の追求により、費用対効果が行政に持ち込まれてきているので、弱者や少数の意見は切り捨てられてしまうのです。
学力格差を経済格差と地域格差の2つの方向から見てきましたが、早急な政治による手立てが必要だと考えています。次代を担う子供たちの教育を真剣に考えなければなりません。そのためには、私たち大人が課題意識を持って自分に何ができるのか考え行動に移すことが何よりも大切です。今後、その指針となるような情報を提供していきます。