来年度から小学3、4年生で英語(外国語活動)の授業が始まることに備え、文部科学省は12月8日、新たな教材「Let’s Try!」を公表しました。教材は英語を聞いたり、話したりすることに慣れて関心を持ってもらい、高学年以降の本格的な学習につなげる狙いで作成されました。そのため動物や文房具など、子どもに身近な題材のイラストをふんだんに盛り込んでいます。
教材は3年向けと4年向けで1冊ずつ。3年は「あいさつ」「好きな物」などをテーマに英語で簡単なやりとりをしてもらうほか、アルファベットを紹介。4年では食べ物や文房具、学校などに関わる単語が登場し、短い文を読むページも出てきます。
外国語活動は現在、小5と小6が習っていますが、2020年度から始まる新たな学習指導要領では小3、小4に前倒しされ、小5からは英語(外国語)が教科として教えられます。18~19年度の2年間は移行期間となり、小3、小4では年間15コマずつ「外国語活動」の授業が始まります。教科ではないため教科書がないので、文部科学省が教材を作成しました。
教材は現在の小5、小6年生が使っている「Hi, friends!」より、ゲーム色を薄めているということです。文部科学省は冊子に対応した音声や動画などのデジタル教材もつくっており、年度内に希望する全ての学校に配る予定です。
これまで高学年が学習してきた内容と比較すると、英語の教科化に向けて質を高めていると感じます。外国語活動の本来の趣旨である、外国語を話す素地を育成するレベルから、教科化への導入レベルに格上げされた印象です。
今後、英語の教科書も作成され、英語を読む、書く、話す、聞くといった四技能を身に付けさせる内容になります。小学校の先生たちは、この内容を適切に指導し評価する能力を身に付けなければなりません。中学校の英語教員との指導法を共有したり自己の英語力の向上を図ったりすることが必要でしょう。このような教員の指導力向上に対して、教育行政として充分な支援がされていないことが大きな課題です。移行措置までの時間も僅かとなりました。これからの子供たちが、使える英語を身に付けられるように、教員の指導力向上は待った無しです。文部科学省をはじめ教育委員会の真摯な支援を期待しています。
教員の長時間労働の改善策を検討している、文部科学相の諮問機関・中央教育審議会の特別部会は11月28日、「中間まとめ」の案を示しました。案では、教員の時間外勤務を抑制するため、文部科学省に対し、勤務時間の上限を数値で示したガイドラインを作成するよう求めたほか、省内に教職員の業務量を一元的に管理する部署を設置することが必要、などと指摘しました。
一方、教員の長時間労働の要因のひとつとなっている部活動については、「現行の学習指導要領では教育課程外」としながらも、「学校教育の一環」「学校の業務と位置づけられ、現状では教師が担わざるを得ない状況」と表記。外部人材の活用を積極的に行うことで負担軽減などを図るべきとしました。これについては、傍聴した現職の教員から「部活は勤務時間を過ぎて行われているのに教員の業務だというのか。憤りを感じる」と落胆する声が上がりました。
案では、公立学校の教職員を対象とした、教育職員給与特別措置法(給特法)についても言及したが、結論は示されませんでした。給特法では、校長などの管理職が残業を命じることができるケースを修学旅行や災害時などに限定しています。そのため、公立学校の教員には残業代ではなく、代わりに、基本給の4%を上乗せした給料しか支払われていません。
教員の時間外勤務はすべて「自発的な残業」とみなされている現状があり、教員は時間外勤務の意識が希薄となり、長時間労働を招く要因となっています。自発的とみなしている残業にすべて残業代を支払うと莫大な額になるという課題もあります。
給特法について、案では、「給与の問題に加え、学校の組織運営などにも大きく影響する問題であり、結論が出されていない」「教師の勤務の特殊性も考慮しながら、引き続き議論を進めていく必要がある」とする記載にとどまりました。
案に対して、部会では賛否両論が入り乱れた。ある委員は「勤務時間の上限の数値目標を設定し、目安を文科省が示すというのは、極めて重要。思い切った記述だ」と評価していました。一方で、別の委員からは、部活動について「本来業務でないと明記するべきでは」といった声もありました。給特法についても「立法の趣旨が今日の先生方の勤務実態にあてはまるのか、子供の将来にわたる学びの質が担保されていく状況にあるか、しっかり記載するべき。ただちに専門家からなる作業チームを設置して議論を再開させる必要がある」などの意見が示されました。
また、文部科学省からは、今後の働き方改革についての予算の見通しが示されました。来年度の概算要求では、学校業務の効率化・精選について11億円、教員以外の外部スタッフの活用に147億円などを予定しています。加えて、仮に、今の教員の勤務状況に即し、“自発的な残業”に該当する分を給与へ上乗せすると、国や自治体負担分の合計は、少なくとも9000億円を超える額が必要になると推計しています。
部活動を学校教育と位置付けたなら、給特法を廃止して時間外手当を支給する必要があると考えています。そうした上で、教員の勤務内容を精査して、部活動の指導員やスクールカウンセラー、事務補助員等を導入することで、教育指導に専念することができるでしょう。本来の教員の職責である教科指導に勤務時間を割くことができるように政策を考えることが文部科学省や教育委員会の責任です。まずは、教育行政が教員の働き方を真摯に考えて、質の高い教育が実施できる環境を整えることを期待しています。
都教育委員会は24日、都内の公立校を対象に都が独自に行ったいじめの実態調査結果を公表しました。今年4~6月に学校が把握したいじめの認知件数は、昨年度(3062件)の約3・9倍となる1万1884件に増加しました。都教委は、多くの学校で、冷やかしやからかいなど「軽微ないじめも見逃さないという意識が広がったため」とみています。
調査によると、いじめの認知件数は小学校で9597件▽中学校で2220件▽高校で55件▽特別支援学校で12件-で全校種で増加しました。このほか、いじめと疑われるケースは公立校合計で1626件。認知したいじめのうち、小中学校、高校で最多だったのが「冷やかしやからかい」で、小学校では認知件数の半分以上を占める5210件に上がりました。
都教委は今年2月に策定されたいじめ総合対策を基に、引き続き確実ないじめの認知を行い、教職員がいつでも相談に応じられるようにするなど、学校の相談体制のさらなる充実を図るといっています。
ここで気になる点は、いじめが発生した後の対応に力を入れており、いじめを未然に防ぐ教育的な手立てがないことです。今やいじめはどのクラスでも起きる可能性があると認知され、いじめの把握と報告はある程度、可視化されてきました。そして、いじめられた児童生徒に対する相談体制も整ってきたと言えます。しかし、いじめが何故起きるのか、その原因を突き止め、いじめの加害者に教育的指導をしなければ学校教育としては不十分です。いじめる側の理由は、個別に異なると思いますが、共通するのは多様性に対する不寛容です。今後、日本も国際化が進み多くの外国人と共の生活することになります。多様な価値観を持った人々と共に持続可能な社会を構築するためにも、多様性に対する寛容な態度を学校教育で育み必要があるのです。ぜひ、多様性の素晴らしさを小さい時から学ぶカリキュラムを導入してほしいと思います。
政府は教育無償化など2兆円規模の政策パッケージについて、配分の大枠を固めました。大学など高等教育の無償化に約8000億円を配分。幼児教育・保育の無償化では、0~2歳児に100億円程度、3~5歳児は8000億円程度を充てる内容です。高等教育と0~2歳児については、無償化の対象を住民税非課税世帯(年収約250万円未満)に限定する方針。今後、自民、公明両党と調整したうえで来月上旬にも取りまとめる予定となっています。
この内容からもわかるように、教育費の完全無償化には程遠いのが現実のようです。国際人権規約で、高等教育までの費用を無償化すると批准しているので、これを実施しないことは憲法違反でもあります。
先の衆議院選挙で安倍首相が公約していた内容がこの程度だったとは残念で仕方ありません。経済格差による教育格差を解消するためにも、一日も早く教育費の完全無償化の実現を要望します。
2016年度に全国の小中高校などが認知したいじめが前年度比9万8676件増の32万3808件と大幅に増加し、1985年度の調査開始以来最多となったことが26日、文部科学省の「問題行動調査」で分かりました。増加は3年連続で、30万件を超えたのは初めて。
文科省は「積極的に認知して早い段階で組織的に対応する意識が高まった成果ではないか」と評価。これまでいじめの対象から外していたけんかなども、今回から背景を調べ、児童生徒が被害性を感じていれば認知するよう求めたことも増加の一因とみています。
小学校が8万6229件増の23万7921件、中学校が1万1807件増の7万1309件とそれぞれ過去最多を更新。高校は210件増の1万2874件だった。小学校は、特に低・中学年の増加が顕著でした。
いじめの内容(複数回答)は、からかい・悪口・脅し文句などが認知件数全体の62.5%を占めました。「インターネット交流サイト(SNS)いじめ」を含むパソコンや携帯電話などを使った中傷などは前年度比1596件増の1万783件と初めて1万件を超え、全体の3.3%でした。特に高校は17.4%に上がりました。
学校が報告した小中高生の自殺は29人増の244人。このうち、いじめの問題があったとされる児童生徒は10人でした。これほどの子供たちがいじめによって命を絶っている事実を私たちは重く受け止めなければなりません。
一方、不登校は、小学校が3568人増の3万1151人と、比較可能な91年度以降で初めて3万人を超えました。中学校は4839人増の10万3247人、高校は984人減の4万8579人でした。
暴力行為の発生件数は、小学校が5769件増の2万2847件と急増。中学校は2925件減の3万148件、高校は193件減の6462件で、それぞれ減少傾向が続いてました。
子供の世界は社会の縮図と言われていますが、最近のマスコミ報道といじめの構図は非常に似ていると考えています。つまり、社会の大人たちの姿がいじめを間接的に助長しているのではないかということです。
マスコミ報道では、ちょっと道にはずれたことをした人を槍玉にあげ、これでもかこれでもかというくらい電波で非難します。
情報バラエティでは、コメンテーターがこれまた徹底的に批判し、そのコメントがネットを通して再度流れます。ほぼ毎日のように、こんなことが繰り返して、報道される人はフルボッコで再起不能になるまで叩きます。そしてほとぼりが冷めたら、次のターゲットを探し、また徹底的に叩く。
子供たちの中にあるいじめも、加害者による正義とそれに同調する他の加害者が集まり被害者を苦しめます。それを見ている傍観者が、いじめを止めることに重要な役割を果たすのですが、いじめを黙認する空気があると立ち上がることはできません。先生に告げ口することで、今度は自分が被害者になる可能性があるからです。
いじめの加害者が第一義的に問題があるのですが、傍観者に行動させる力を育てられない学校や社会も第二義的に問題があると思います。
誹謗中傷される大人の姿見て、子供たちは安心して生活できるでしょうか。もちろん悪いことはいけないのですが、それをフルボッコにする報道の姿勢は子供の教育のためにも改めてほいしと思います。
報道は権力者の監視として、冷静な判断と適切な指摘を期待しています。
渋谷区が2018年度から、貧困世帯の中学3年生を対象に塾で使えるクーポン券を支給すると発表しました。資金はクラウドファンディングで集めるとのこと。
貧困家庭を対象に塾などで使えるクーポンを給付するというしくみについては、すでに2012年から大阪市の西成区からはじまり、現在では大阪市全域に広がった実績があります。
貧困家庭の子供に学校以外での教育の機会を与えるしくみとしては、自治体による公営塾、民間有志による無料塾、そして今回のような塾用クーポンなどがあります。
塾クーポンという新しいしくみによって渋谷区の貧困家庭の子供の選択肢が増えたことは、ひとまず前向きに捉えたいと思います。
公営塾、無料塾、塾クーポン。いずれも「学校だけでは教育機会として不十分」という認識に立脚した発想だと思います。特に都市部においてはその認識を否定することはできません。
だからと言って、学校教育の質的向上を放置することは、本質的な課題解決の先送りであることに変わりはありません。
学校で個に応じた教育ができれば、そもそも学習塾に行く必要はないのです。放課後は、学生の自由な時間として使えるゆとりこそが何よりも必要なのではないでしょうか。
この政策は学習塾に行くことで、必然的に学習時間が確保できるので、学力向上の一助となるとは思います。しかし、今、本当に必要な学力は、主体的に課題を見つける力であり、その課題を解決する力なのです。
周りの友達が学習塾に行くから、私も行きたいという子供の願いを叶えることが大人の責任なのでしょうか。なんのために学ぶのか、学ぶためにはどうしたら良いのか、その本質を子供達に考えさせて、学校が支援することが今、求められていることです。教育行政が、本気で取り組まなければ、教育格差問題は解決しません。
まずは、公立学校における少人数学級の実施に取り組み、個に応じた指導の充実を図ることが先決です。
そして、主体的に課題解決できる学生を育て、自主性を伸ばし最適解を見つけられる力を身につけさせてほしいと思います。
「こどもの日」を前に総務省が5月4日にまとめた人口推計(4月1日時点)によると、外国人を含む14歳以下の子どもの数は前年より17万人少ない1571万人で、36年連続の減少となりました。
総人口に占める割合は12.4%で43年連続の低下。比較可能な統計がある1950年以降、人数、割合とも過去最低を更新し、少子化が加速している状況です。ピークだった54年の2989万人の半減に近い数字となっています。
少子化が進む中で、その流れを変える政策はまだ見えてこないのが現実でしょう。労働の現役世代が高齢者を支えなければならない現在の社会福祉制度を抜本的に変えなければ、これから生まれてくる子供達にとって負担感しかありません。また、価値観の多様化によって、子供、家族、夫婦という関係に魅力が持てない若者も増えています。少子化の背景には、将来に対する漠然とした不安を子供を産める世代が持っていることが大きな要因だと考えています。
もう少し不安要因を分析すると、結婚によるメリットよりデメリットが大きいと考える現在の家族制度の課題、子育てにかかる教育費の課題、そして収入が低いため結婚することができない経済的課題などが考えられます。
女性の社会進出が進む中、夫婦別姓も認められているものの戸籍上はどちらかの姓を選ばなければなりません。民法を改正するのも一案ですが、フランスが行ったように未婚のカップルを認める社会を形成することは制度を変えなくてもできることです。もちろん、社会的に支えるための支援事業に取り組む必要がありますが、複数の政策を徐々に整備する姿勢が大切です。カップルの多様性を認める社会を醸成するのです。
子育てにかかる保育費や教育費の問題は、現在、高等教育まで無償化する動きが出始めています。その財源として私が考えているのは、資産を1億円以上持ってい裕福層に対する資産税の導入です。資産税の導入により、所得の再分配ができるのと同時に、高齢者の福祉政策に必要な財源としても利用できます。
資本主義経済では、富める者にお金は集まり、貧しい者はより貧しくなります。1980年代までの日本は総中流階級と言われるほど経済格差は大きくありませんでした。言い換えると、働いた対価として賃金が適正に支払われていました。現在は、企業が儲けた分を内部留保して労働者に還元していません。さらに非正規職員を増やすことで人件費を大幅に削減しています。そして、代表取締役の年俸は一般社員の数十倍となっているのです。経営層と労働層の乖離が大きくなっている現実からも資産税の導入が必要なのです。
社会に出て働き始めた若者たちが、将来のために貯蓄することを現実的だということは、それだけ将来に対して不安を持っている行動の現れだと考えなければいけません。実現不可能な夢を語る必要はありませんが、30年後も安心して生活できる社会保障制度を真剣に考える時期だと少子化問題を通して思いました。
約10年ぶりに改訂される、小中学校の新学習指導要領。英語に親しむ活動を小学3年から始め、小5からは英語が正式教科になります。しかし、現場の教師には不安が多く、保護者の方も教師の英語力を懸念していることが、ジャストシステム(徳島)の新学習指導要領に関する意識調査で分かりました。
公立小学校でクラス担任をしている教師250人と、今年4月に小学1~4年生になる児童の保護者1,116人を対象に調査。それによると、外国語授業実践に、75.2%の教師は「自信がない」と答えています。具体的にその英語力をたずねたところ、最も多かった答えは「初歩的な単語やフレーズを言える」(35.6%)で、「単語や定型句を並べてコミュニケーションがとれる」は27.5%。「自信がない」が20.7%でした。「日常会話はできる」は11.3%、「おおよその自分の考えを伝え、相手の考えも要点は把握できる」になると3.6%、「自分の考えを明確に伝え、相手の考えも正確に理解できる」はわずか1.4%だったのです。
英検でみると、最も多くの教師が取得している英検の級は、中学卒業レベルである「3級」。未取得者も36.5%。学習指導要領改訂内容について、ほぼすべての教師が「教師への負荷が高い」と答え、7割が「現行のままの方がよい」「外国語よりも、自国語教育をもっと充実させた方がよい」としています。
一方、保護者の6割は、外国語の教科化や外国語活動の前倒しに賛成、2割以上が、小学校卒業までに「英検5級から3級を取得させたい」と答えていました。もっとも、保護者の最大の懸念事項も、「教師の英語力」(41.3%)。「これまで英語を習ってきた児童と、学んでこなかった児童の学力差」(33.0%)を心配する声も多かった結果となりました。
調査結果は想像どおりのもので、やはり教師の英語力を向上させることが課題として浮き彫りになりました。この課題解決のために教師の自己研鑽に期待するだけでは、教育行政としての不作為を指摘せざるを得ません。教科として英語を教えるので、話す・聞く・読む・書くの4領域を評価しなければならないため、正確な発音と聞き取り能力が指導者には求められます。小学校教員の皆さんは春休みではありますが、3日からは新年度の担当も決まり授業準備が始まります。心の休養も充分に取りながら、英語の指導力向上のプログラムを構想してください。そして、個々の教師の英語スキルに合わせて能力向上が見込める支援政策を各自治体の教育委員会に強く要望します。
奈良市の学校で取り組んでいる世界遺産学習を奈良市の学校で取り組んでいる世界遺産学習を広く多くの学校でそのノウハウを活用してもらおうと、「もっと奈良っちゃう」WEB版とアプリを奈良市教育委員会が作成しました。奈良市では平成10年に「古都奈良の文化財」が世界遺産に登録されたことから、全ての市立小中学校で世界遺産学習に取り組んでいます。世界遺産学習とは、世界遺産についての知識を学ぶだけではありません。世界遺産を受け継いできた古の人々の思いや願いを通して、現代に生きる私たちにできることを考えます。そして、1300年も守られてきた古都奈良の文化財を次代に受け継ぐための態度を育みます。
その世界遺産学習のノウハウがWEB版のティーチャーズガイドに掲載してあります。修学旅行で奈良を訪れる学校の先生方にはぜひ一読してほしいと思います。「奈良公園は鹿のフンで埋まってしまわないのはなぜか?」という疑問から、奈良公園における自然環境や生態系について学ぶことができます。また、「未来に残したい奈良の風景を見つけよう」は、奈良の美しい風景を残す方法を考えるだけでなく、自分の住む地域で残したい風景もかんがえることで、地域に生きる一人の住民としての役割を考えるきっかけとなります。
このような指導方法ばかりでなく、児童生徒が事前学習で活用できる世界遺産に関する資料や観光ガイドも掲載しています。また、事後学習のまとめ方についても具体的な方法が提示してありますので、修学旅行の準備の時から、行ってきた後の学習のまとめまで通して活用できますので一度ご覧ください。
なお、アプリ版では、「空から眺める平城京」を選択してジャンプすると1300年前の平城京をヴァーチャルリアリティで眺めることができます。これは一見の価値あり。オススメです。
「いじめ防止対策推進法」が施行されて3年が経ちました。しかし、いじめられて命を絶つ子どもが後を絶たないのは周知の事実です。この法によりいじめを防止する効果があったとは残念ながら言えない状況です。法は施行後3年で見直しを検討する規定があるため、文部科学省の有識者会議が議論しているところです。いじめられている子どもたちが生きる希望を持てる生活を保証できるような対策を考えて欲しいと思います。
それでは、なぜ法に防止効果がないのでしょうか。法の特徴は、学校や自治体に対し防止や対策のための「組織」をつくるように求めている点にあります。例えば学校がすべきこととして、「いじめ防止基本方針」を掲げ、対策組織を設けるよう義務づけました。学校全体で方針を立て、情報を共有して取り組むのがねらいです。ところが、それらが機能していない現実が明らかになりました。防止法の施行後、自殺を受けて教育委員会などが設けた第三者委員会による報告12件のうち、少なくとも9件が、学校での情報共有が不十分と認めています。課題を抱える組織において、プロジェクト組織を個別に立ち上げて対策を講じたから大丈夫だと安心する経営者もいるようですが、この組織が存続できる期間は短いでしょう。それは、組織は問題を解決することができないからです。問題を解決できるのは、現場に立つ人、つまり教員なのです。その教員の意識を変え必要な知識を習得する不断の努力を学校組織が取り組まなければなりません。一言で言うと、組織に魂を入れることです。
教員の資質の1つに危機管理能力がありますが、この能力が低いといじめを察知することは困難になります。組織的に対応することで個人の能力をカバーできますが、校長の能力と意識によって左右されることもあります。では、どのように能力を高めることができるのでしょうか。その一つの解は、いじめ防止プログラムを実施することです。学校の実態に応じて各学年毎に共通のプログラムを計画し、学期毎に複数回実施します。児童生徒のいじめに対する倫理的素養を育み、教師のいじめに対する見識を高めることを狙いとします。いじめは悪い、無くさなければいけないと考えるなら指導も合わせて行うべきです。
文部科学省は29日、今年4月に実施した「全国学力・学習状況調査」の結果を発表しました。前年度同様、小中学校とも下位県の成績が全国平均に近づく底上げ傾向が続き、上位県と下位県の差が縮小しました。
公立の都道府県別の平均正答率は上位常連の石川が小学校国語Aと算数A、Bの3種で1位。中学は秋田が国語A、Bで、福井が数学A、Bでトップとなりました。都道府県ごとの結果について、各年度の全国平均を「100」として下位3県の平均と全国平均を比べたところ、小6の3種、中3の2種で前年度より差が縮小し、底上げ傾向がみられた。また上位3県と下位3県の差を学テ開始時の2007年度と比較すると、小6の算数Aが5.1ポイントから3.3ポイントに縮小するなど8種中7種で差が縮まりました。
ここで熊本県を除く都道府県の平均正答率と平成25年度の生活保護率を1つのグラフにまとめてみました。正答率の幅は非常に狭い幅になっていることが一目瞭然です。自分の住んでいる自治体は、全国平均より上か下かという観点で見ることもできますが、その意味をよく考えて分析する必要があります。自治体の首長が本調査の順位に一喜一憂している話を未だに聞きますが、正答率のわずが数パーセントの違いで順位が変わることを理解してほしいものです。それ以上に、このグラフを見て生活保護率が高い自治体の方が正答率が低い傾向が見られることに首長は気づいて欲しいものです。経済格差が広がる中で、学力の格差が縮まるということは、教員の並々ならぬ努力の賜物です。行政の長としての役割は、経済格差を縮めるための施策を地方振興と共に推進することを期待してます。
教育格差という言葉が聞かれるようになったのは、国民の平均所得が1997年以降減少しはじめ経済格差が広がってきた2000年代後半ごろからです。徹底した自由主義経済による考え方は、所得の多少は自己責任であるとして富の再分配の平等には反対します。この考え方が教育現場に持ち込まれると、勉強ができないのは自己責任であるという自己否定的な価値観が埋め込まれてしまいます。本当は、格差社会を改善させる政策を進めない国政に責任があるにもかかわらず、将来の日本を担うはずの子どもたちに責任を転嫁しているのです。現在の安倍政権も自由主義経済を推進しているため、政策転換をしない限り、今後も教育格差は広がることでしょう。夢のある未来を描くことのできる社会をつくるために現状を変えることができるのは、国政選挙で経済格差を是正することをマニフェストにあげている政党に投票することです。大手企業や超裕福層だけが富を独占する社会を私たちは望んでいませんから。
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