来年度から小学3、4年生で英語(外国語活動)の授業が始まることに備え、文部科学省は12月8日、新たな教材「Lets Try!」を公表しました。教材は英語を聞いたり、話したりすることに慣れて関心を持ってもらい、高学年以降の本格的な学習につなげる狙いで作成されました。そのため動物や文房具など、子どもに身近な題材のイラストをふんだんに盛り込んでいます。

教材は3年向けと4年向けで1冊ずつ。3年は「あいさつ」「好きな物」などをテーマに英語で簡単なやりとりをしてもらうほか、アルファベットを紹介。4年では食べ物や文房具、学校などに関わる単語が登場し、短い文を読むページも出てきます。

外国語活動は現在、小5と小6が習っていますが、2020年度から始まる新たな学習指導要領では小3、小4に前倒しされ、小5からは英語(外国語)が教科として教えられます。18~19年度の2年間は移行期間となり、小3、小4では年間15コマずつ「外国語活動」の授業が始まります。教科ではないため教科書がないので、文部科学省が教材を作成しました。

教材は現在の小5、小6年生が使っている「Hi, friends!」より、ゲーム色を薄めているということです。文部科学省は冊子に対応した音声や動画などのデジタル教材もつくっており、年度内に希望する全ての学校に配る予定です。

これまで高学年が学習してきた内容と比較すると、英語の教科化に向けて質を高めていると感じます。外国語活動の本来の趣旨である、外国語を話す素地を育成するレベルから、教科化への導入レベルに格上げされた印象です。

今後、英語の教科書も作成され、英語を読む、書く、話す、聞くといった四技能を身に付けさせる内容になります。小学校の先生たちは、この内容を適切に指導し評価する能力を身に付けなければなりません。中学校の英語教員との指導法を共有したり自己の英語力の向上を図ったりすることが必要でしょう。このような教員の指導力向上に対して、教育行政として充分な支援がされていないことが大きな課題です。移行措置までの時間も僅かとなりました。これからの子供たちが、使える英語を身に付けられるように、教員の指導力向上は待った無しです。文部科学省をはじめ教育委員会の真摯な支援を期待しています。

教員勤務時間の上限設置を検討──中教審


教員の長時間労働の改善策を検討している、文部科学相の諮問機関・中央教育審議会の特別部会は1128日、「中間まとめ」の案を示しました。案では、教員の時間外勤務を抑制するため、文部科学省に対し、勤務時間の上限を数値で示したガイドラインを作成するよう求めたほか、省内に教職員の業務量を一元的に管理する部署を設置することが必要、などと指摘しました。

一方、教員の長時間労働の要因のひとつとなっている部活動については、「現行の学習指導要領では教育課程外」としながらも、「学校教育の一環」「学校の業務と位置づけられ、現状では教師が担わざるを得ない状況」と表記。外部人材の活用を積極的に行うことで負担軽減などを図るべきとしました。これについては、傍聴した現職の教員から「部活は勤務時間を過ぎて行われているのに教員の業務だというのか。憤りを感じる」と落胆する声が上がりました。

案では、公立学校の教職員を対象とした、教育職員給与特別措置法(給特法)についても言及したが、結論は示されませんでした。給特法では、校長などの管理職が残業を命じることができるケースを修学旅行や災害時などに限定しています。そのため、公立学校の教員には残業代ではなく、代わりに、基本給の4%を上乗せした給料しか支払われていません。

教員の時間外勤務はすべて「自発的な残業」とみなされている現状があり、教員は時間外勤務の意識が希薄となり、長時間労働を招く要因となっています。自発的とみなしている残業にすべて残業代を支払うと莫大な額になるという課題もあります。

給特法について、案では、「給与の問題に加え、学校の組織運営などにも大きく影響する問題であり、結論が出されていない」「教師の勤務の特殊性も考慮しながら、引き続き議論を進めていく必要がある」とする記載にとどまりました。

案に対して、部会では賛否両論が入り乱れた。ある委員は「勤務時間の上限の数値目標を設定し、目安を文科省が示すというのは、極めて重要。思い切った記述だ」と評価していました。一方で、別の委員からは、部活動について「本来業務でないと明記するべきでは」といった声もありました。給特法についても「立法の趣旨が今日の先生方の勤務実態にあてはまるのか、子供の将来にわたる学びの質が担保されていく状況にあるか、しっかり記載するべき。ただちに専門家からなる作業チームを設置して議論を再開させる必要がある」などの意見が示されました。

また、文部科学省からは、今後の働き方改革についての予算の見通しが示されました。来年度の概算要求では、学校業務の効率化・精選について11億円、教員以外の外部スタッフの活用に147億円などを予定しています。加えて、仮に、今の教員の勤務状況に即し、自発的な残業に該当する分を給与へ上乗せすると、国や自治体負担分の合計は、少なくとも9000億円を超える額が必要になると推計しています。

部活動を学校教育と位置付けたなら、給特法を廃止して時間外手当を支給する必要があると考えています。そうした上で、教員の勤務内容を精査して、部活動の指導員やスクールカウンセラー、事務補助員等を導入することで、教育指導に専念することができるでしょう。本来の教員の職責である教科指導に勤務時間を割くことができるように政策を考えることが文部科学省や教育委員会の責任です。まずは、教育行政が教員の働き方を真摯に考えて、質の高い教育が実施できる環境を整えることを期待しています。

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東京都のいじめ3・9倍1万1884件 4~6月 公立校で実態調査

都教育委員会は24日、都内の公立校を対象に都が独自に行ったいじめの実態調査結果を公表しました。今年4~6月に学校が把握したいじめの認知件数は、昨年度(3062件)の約3・9倍となる1万1884件に増加しました。都教委は、多くの学校で、冷やかしやからかいなど「軽微ないじめも見逃さないという意識が広がったため」とみています。

調査によると、いじめの認知件数は小学校で9597件▽中学校で2220件▽高校で55件▽特別支援学校で12件-で全校種で増加しました。このほか、いじめと疑われるケースは公立校合計で1626件。認知したいじめのうち、小中学校、高校で最多だったのが「冷やかしやからかい」で、小学校では認知件数の半分以上を占める5210件に上がりました。

都教委は今年2月に策定されたいじめ総合対策を基に、引き続き確実ないじめの認知を行い、教職員がいつでも相談に応じられるようにするなど、学校の相談体制のさらなる充実を図るといっています。

ここで気になる点は、いじめが発生した後の対応に力を入れており、いじめを未然に防ぐ教育的な手立てがないことです。今やいじめはどのクラスでも起きる可能性があると認知され、いじめの把握と報告はある程度、可視化されてきました。そして、いじめられた児童生徒に対する相談体制も整ってきたと言えます。しかし、いじめが何故起きるのか、その原因を突き止め、いじめの加害者に教育的指導をしなければ学校教育としては不十分です。いじめる側の理由は、個別に異なると思いますが、共通するのは多様性に対する不寛容です。今後、日本も国際化が進み多くの外国人と共の生活することになります。多様な価値観を持った人々と共に持続可能な社会を構築するためにも、多様性に対する寛容な態度を学校教育で育み必要があるのです。ぜひ、多様性の素晴らしさを小さい時から学ぶカリキュラムを導入してほしいと思います。

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高等教育に8000億円 2兆円配分の大枠

政府は教育無償化など2兆円規模の政策パッケージについて、配分の大枠を固めました。大学など高等教育の無償化に約8000億円を配分。幼児教育・保育の無償化では、0~2歳児に100億円程度、3~5歳児は8000億円程度を充てる内容です。高等教育と0~2歳児については、無償化の対象を住民税非課税世帯(年収約250万円未満)に限定する方針。今後、自民、公明両党と調整したうえで来月上旬にも取りまとめる予定となっています。

この内容からもわかるように、教育費の完全無償化には程遠いのが現実のようです。国際人権規約で、高等教育までの費用を無償化すると批准しているので、これを実施しないことは憲法違反でもあります。

先の衆議院選挙で安倍首相が公約していた内容がこの程度だったとは残念で仕方ありません。経済格差による教育格差を解消するためにも、一日も早く教育費の完全無償化の実現を要望します。

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いじめ認知32万件=過去最多、早期対応へ積極化-16年度問題行動調査・文科省


2016年度に全国の小中高校などが認知したいじめが前年度比9万8676件増の32万3808件と大幅に増加し、1985年度の調査開始以来最多となったことが26日、文部科学省の「問題行動調査」で分かりました。増加は3年連続で、30万件を超えたのは初めて。

文科省は「積極的に認知して早い段階で組織的に対応する意識が高まった成果ではないか」と評価。これまでいじめの対象から外していたけんかなども、今回から背景を調べ、児童生徒が被害性を感じていれば認知するよう求めたことも増加の一因とみています。

小学校が8万6229件増の23万7921件、中学校が1万1807件増の7万1309件とそれぞれ過去最多を更新。高校は210件増の1万2874件だった。小学校は、特に低・中学年の増加が顕著でした。

いじめの内容(複数回答)は、からかい・悪口・脅し文句などが認知件数全体の62.5%を占めました。「インターネット交流サイト(SNS)いじめ」を含むパソコンや携帯電話などを使った中傷などは前年度比1596件増の1万783件と初めて1万件を超え、全体の3.3%でした。特に高校は17.4%に上がりました。

学校が報告した小中高生の自殺は29人増の244人。このうち、いじめの問題があったとされる児童生徒は10人でした。これほどの子供たちがいじめによって命を絶っている事実を私たちは重く受け止めなければなりません。

一方、不登校は、小学校が3568人増の3万1151人と、比較可能な91年度以降で初めて3万人を超えました。中学校は4839人増の10万3247人、高校は984人減の4万8579人でした。

暴力行為の発生件数は、小学校が5769件増の2万2847件と急増。中学校は2925件減の3万148件、高校は193件減の6462件で、それぞれ減少傾向が続いてました。

子供の世界は社会の縮図と言われていますが、最近のマスコミ報道といじめの構図は非常に似ていると考えています。つまり、社会の大人たちの姿がいじめを間接的に助長しているのではないかということです。

マスコミ報道では、ちょっと道にはずれたことをした人を槍玉にあげ、これでもかこれでもかというくらい電波で非難します。

情報バラエティでは、コメンテーターがこれまた徹底的に批判し、そのコメントがネットを通して再度流れます。ほぼ毎日のように、こんなことが繰り返して、報道される人はフルボッコで再起不能になるまで叩きます。そしてほとぼりが冷めたら、次のターゲットを探し、また徹底的に叩く。

子供たちの中にあるいじめも、加害者による正義とそれに同調する他の加害者が集まり被害者を苦しめます。それを見ている傍観者が、いじめを止めることに重要な役割を果たすのですが、いじめを黙認する空気があると立ち上がることはできません。先生に告げ口することで、今度は自分が被害者になる可能性があるからです。

いじめの加害者が第一義的に問題があるのですが、傍観者に行動させる力を育てられない学校や社会も第二義的に問題があると思います。

誹謗中傷される大人の姿見て、子供たちは安心して生活できるでしょうか。もちろん悪いことはいけないのですが、それをフルボッコにする報道の姿勢は子供の教育のためにも改めてほいしと思います。

報道は権力者の監視として、冷静な判断と適切な指摘を期待しています。

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渋谷区が貧困家庭に塾クーポンを給付


渋谷区が2018年度から、貧困世帯の中学3年生を対象に塾で使えるクーポン券を支給すると発表しました。資金はクラウドファンディングで集めるとのこと。

貧困家庭を対象に塾などで使えるクーポンを給付するというしくみについては、すでに2012年から大阪市の西成区からはじまり、現在では大阪市全域に広がった実績があります。

貧困家庭の子供に学校以外での教育の機会を与えるしくみとしては、自治体による公営塾、民間有志による無料塾、そして今回のような塾用クーポンなどがあります。

塾クーポンという新しいしくみによって渋谷区の貧困家庭の子供の選択肢が増えたことは、ひとまず前向きに捉えたいと思います。

公営塾、無料塾、塾クーポン。いずれも「学校だけでは教育機会として不十分」という認識に立脚した発想だと思います。特に都市部においてはその認識を否定することはできません。

だからと言って、学校教育の質的向上を放置することは、本質的な課題解決の先送りであることに変わりはありません。

学校で個に応じた教育ができれば、そもそも学習塾に行く必要はないのです。放課後は、学生の自由な時間として使えるゆとりこそが何よりも必要なのではないでしょうか。

この政策は学習塾に行くことで、必然的に学習時間が確保できるので、学力向上の一助となるとは思います。しかし、今、本当に必要な学力は、主体的に課題を見つける力であり、その課題を解決する力なのです。

周りの友達が学習塾に行くから、私も行きたいという子供の願いを叶えることが大人の責任なのでしょうか。なんのために学ぶのか、学ぶためにはどうしたら良いのか、その本質を子供達に考えさせて、学校が支援することが今、求められていることです。教育行政が、本気で取り組まなければ、教育格差問題は解決しません。

まずは、公立学校における少人数学級の実施に取り組み、個に応じた指導の充実を図ることが先決です。

そして、主体的に課題解決できる学生を育て、自主性を伸ばし最適解を見つけられる力を身につけさせてほしいと思います。

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小学生から起業家を育てよう、文科省がモデル事業をスタートへ 「小さいうちから将来への目的意識を身に付けてほしい」

キャリアを考えるのは小学生からでも早すぎない--。
文部科学省は2018年度、早い段階から自分の将来を考えることができる子どもを育成するため、小中学生に対するキャリア教育の充実に乗り出すようです。
選択肢の多様化に合わせた進路指導の調査や、起業体験の推進などのモデル事業を実施するため、2018年度予算概算要求に関連経費を盛り込んだのです。
進路指導の調査は、主に小学校高学年(5、6年生)を対象に、児童や保護者のニーズ掘り起こし、進路に関する情報提供の仕方など効果的な指導のあり方を検討する予定です。4地域の教育委員会をモデルとし、全国への拡大を目指す計画となっています。
起業体験の推進事業は、14地域の小中高校を対象に実施。児童・生徒が活動を通じて、チャレンジ精神や他者と協力しながら新しい価値を創造する力といった、これからの時代に求められる資質や能力の育成を図るようです。
文科省によると、公立中高一貫教育を導入する自治体の増加を背景に、大都市圏だけでなく、地方でも公立中学の入学者選抜(適性検査)を受ける児童が珍しくなくなっている。それでも、小学校で児童の進路選択を扱う機会はまだまだ少ない課題感をもっています。
進路指導に対するニーズが増えている一方で、民間の塾と公立学校との間で、相談体制や情報量に格差が生じてしまっている実態もあります。
こうした実情を踏まえて、モデル事業は、自分の将来を考えるのに必要な情報を、児童・生徒が等しく得られるようにする狙いがあります。なりたい職業やキャリアを意識した上で、どんな進路選択や勉強をするべきかを考える教育を推進することが柱となります。
2020年度から全面的に実施される新学習指導要領は、進路指導を含めた小学校段階からのキャリア教育の充実を明確に位置付けています。
文科省児童生徒課の担当者は、「今の社会は色々な選択肢があるので、小さいうちから将来への目的意識を持つことを身に付けてほしい。塾との情報格差があるので、等しく情報を与えることが必要だ」と取材に対して答えていました。
この担当者の話だと、キャリア教育の必要性であり、起業家教育には触れられていません。起業家教育による効果は、チャレンジ精神、自信、やる気が高まるという精神面の成長や人を巻き込み課題解決する力が身につくなどが期待されています。
しかし、起業家教育という新たなカテゴリーを教育現場に取り入れて実施しなければ、子供たちに心の成長や課題解決力を身につけさせることができないのでしょうか。
学校現場で子供たちに日々、指導している教員から、こんなことは学級活動や学習活動の中で十分身につけさせているという声が聞こえてくる気がします。
キャリア教育の本質は、日々の教育活動を通して基礎的・汎用的な能力を身につけさせることです。新たな〇〇教育をビタミン剤を飲むように教育現場に導入しても、子供たちに期待するような力が身につくことはないのです。
そろそろ文部科学省もそのことに気がついて、学校現場に本当に必要なことは何なのか、真剣に考えて欲しいと思います。

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教育への公的支出は最下位 教員の勤務時間は最長

経済協力開発機構(OECD)は9月12日、平成26年の加盟各国の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合を公開しました。日本は3.2%で、比較可能な34カ国中で最下位となりました。また、教育に関する調査報告書「図表でみる教育2017年版」も発表しました。日本の教育課題に関しては、教員の勤務時間が最長である状況などが指摘されています。
日本の3.2%は、OECD平均の4.4%と比べ1.2ポイント低く、最も高いのはデンマークで6.3%でした。
同調査では、日本の教育の課題として、▽幼児教育、高等教育の私費負担の高さ▽教員の労働時間の長さ▽科学・工学分野における女性の割合の低さ――などが挙げられました。
幼児教育では、日本の入学率は3歳児で80%、4歳児で94%とOECD各国と比べて高いものの、公的な機関が幼児教育に占める割合は46%で、OECD各国の中で最も低い割合となっています。
高等教育でも、日本の公的支出の割合は34%で、OECD平均の70%と比べて36ポイント低くなっています。また、17年以降、高等教育における私費負担の割合にほぼ変化はありませんでした。
幼児教育、高等教育における家庭負担の割合は、世界的にみても大きい状況が明らかとなりました。
教員の勤務状況をみると、日本の公立学校に勤務する教員の年間勤務時間は、1891時間で最長。OECD平均と比べると、200時間以上多いことになります。
さらに、日本の教員の場合はOECD各国と比べ、授業よりも課外活動や会議、カウンセリングなどに費やす時間が多い傾向があることが分かりました。
STEM分野における女性の進出では、18年以降、日本が科学・工学分野での女性研究者の割合を引き上げようとしている取り組みについて触れた上で、27年時点で女性の51%が大学などの高等教育機関に進学するものの、工学系に進むのはそのうち13%でしかないと報告しています。
今回の報告を受ける前から、幼児教育、高等教育における家庭負担の割合は大きいことと教員の長時間勤務は問題とされていましたが、世界的に見ても異常な状態だということが鮮明になりました。グローバル化する社会の課題に立ち向かわなければならない子供達に対して、政府として無責任すぎます。今までの新自由主義の流れでは、教育も含め自己責任だという風潮をつくってきてましたが、もう限界の時です。社会として次代を担う子供達を育てる気運をマスコミも含めてつくる必要があります。その動きは少しずつ見えてきているので、ぜひ、大きなうねりをつくって未来の日本を語れるようにしましょう。胸を張って、今の子供達に次代のバトンを渡せるように。

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自治体が徴収…教員の負担軽減狙い 文科省方針

文部科学省は現在、全国の4分の3の市区町村で学校がしている給食費の徴収業務を自治体が直接するよう求める方針を決めました。未納の保護者への督促や多額の現金を扱うことが教職員の心理的負担と長時間勤務の一因になっており、業務を移すことで負担を軽減する狙いがあります。
給食費等の費用徴収業務は、教職員の業務負担軽減だけでなく、未納家庭の児童生徒にとっても吉報です。未納家庭に対しては、児童生徒に納付の督促状を封筒に入れて渡しますが、小学校の高学年にもなると封筒の中身が何なのか察しがつくからです。保護者が費用を未納にしていることにより、その子供が経済的な心配をする可能性は否定できないでしょう。今回の文部科学省の政策は、教員の働き方改革の一つですが、この様な派生効果も期待できるので、1日も早く実施してほしいと思います。

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小中学生に1人一台のLTEタブレット、渋谷区のICT教育

渋谷区では、平成29年度「ICT教育の推進」として7億8200万円を本年度予算で計上し、全ての渋谷区立小中学校に1人1台のタブレット端末を配備するほか、校務と学習のクラウド化などに取り組んでいます。そして、いよいよ9月から約8800人がLTEタブレットの利用を開始することになりました。
同事業では、最先端のICT機器を活用し、児童生徒が21世紀型スキルと言われる「情報創造力」、「批判的思考力」、「コミュニケーション力」、「問題解決力」、「プロジェクト力」、「ICT活用力」などの能力を身につけられるような教育環境を整備します。
通信環境については、国内のLTE網を利用した、データ通信用のSIMカードを配備して、NTTドコモの回線を利用することも決まりました。
また、全普通教室に電子黒板機能付きプロジェクター287台を配備。プロジェクターの配備にあわせ、協働学習用の画面転送装置も287台を導入しています。
さらに、クラウド基盤を利用した統合型校務支援システムを導入するほか、指導者用デジタル教科書や授業支援システムなどを導入します。
実証実験では、学力向上に成果が見られたとの報告がありましたが、費用対効果としてどの様な成果が上がるのか、検証方法も含めて注視したいと思います。
先進的な取り組みですが、ICTを活用して学力向上と校務負担軽減を可能にできるよう渋谷区長をはじめ教育行政の取り組みに期待しています。

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教員の長時間労働改善、事務作業に支援員配置へ

教員の長時間労働を改善するため、文部科学省は教員の事務作業を代行する「スクール・サポート・スタッフ」を全国の公立小中学校に配置する新制度の導入を決めました。
大規模校を中心に3600人の採用を目指し、来年度予算の概算要求に都道府県教委への人件費補助14億9000万円を計上する予定です。教員の多忙感は学習プリントのコピーや会議の準備などの雑多な事務も一因とされており、外部人材の活用で負担軽減を図るのがねらいです。
文部科学省によると、サポート・スタッフは都道府県教委がパートタイムの非常勤職員として雇用し、来年度は全国約3万校ある公立小中学校のうち規模の大きい3600校に配置するそうです。文部科学省はその人件費の3分の1を補助します。担当する業務は児童生徒に配るプリントのコピーなどの授業準備のほか、校内掲示物の作成、行事や会議の準備・片づけ、調査統計のデータ入力などを想定しています。
教員の事務負担軽減のために人員要求を文部科学省が財務省に対して行うことは、教員の超過勤務問題の解決に一歩前進するものだと思います。しかし、超過勤務削減のためには、現在ある事務の内容を見直すことが大切です。
今回、非常勤職員が配置される大規模校は、職員数が多いため校務分掌の一人当たりの負担は軽いのです。また、学年行事に対する準備もクラス数が多いため一人当たりの負担も軽いのです。一方、中規模校では、一人で複数の校務分掌を担当したり、学年の準備を2、3人でしなければならなかったり、一人当たりの負担は大規模校と比較すると大きくなります。
また、教員が負担に感じる事務は、授業には直接関係のない照会文書に回答することや定例的な報告書を作成するといったものです。もちろん、教育行政を執行する学校現場で報告書をなくすことはできませんが、作成のための作業効率を上げることは可能です。この効率化を図るためにICTを教育現場に導入する方が、教員の負担軽減感は高くなるでしょう。
最終ゴールは、25人学級を実現して物理的に指導人数を減らすことで、精神的にも時間的にも教員の負担を軽減できます。高等教育の無償化も大切ですが、義務教育における教育の質的保障も併せて考えてほしいと思います。

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高等教育機関への進学率80.6% 過去最高を更新

文部科学省は3日、2017年度の学校基本調査の速報値を発表しました。大学や専門学校など高等教育機関への進学率は80・6%で、過去最高になった。高等教育機関のうち、浪人生らを含む大学(学部)への進学率は52・6%で、同様に最も高くなりました。
少子化で18歳人口は横ばいが続いていますが、卒業後の就職の可能性などを考え、進学を選ぶ人が増えているとみられます。参考ですが、20年前の高等教育機関への進学率は67・4%でした。。政府は大学などへの進学をさらに後押ししようとしており、文科省高等教育企画課は「今後も進学率の上昇が続く可能性がある」とみています。
少子化が進むことと学歴による収入格差が変わらないため進学率は今後も上昇することと思います。つまり、教育費の支出は今後も必要であると言い換えることができます。現在、教育費の無償化が議論されていますが、高等教育の質についても合わせて議論して欲しいところです。学歴が必要という理由だけで学ぶ意欲も能力もない学生を受け入れる大学は必要ないと考えているからです。是非、この本質論も含めて高等教育の在り方を議論して欲しいと思います。

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小学校教員免許取得で 英語など外国語科目を必修化

文部科学省は7月27日、小学校教員免許取得のための大学での教職課程について、教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令改正案を公示しました。英語など外国語科目と、特別支援教育に関する科目、総合的な学習の指導方法の履修がようやく必修化されたのです。
現行第3条にある「小学校教諭の普通免許状の授与を受ける場合の教科に関する科目の単位の修得方法は、国語(書写を含む。)、社会、算数、理科、生活、音楽、図画工作、家庭及び体育の教科に関する科目のうち1以上の科目について修得」に、改正後は、「外国語(英語、ドイツ語、フランス語その他の各外国語)の教科に関する専門的事項のうち1以上について修得するものとする」を加えます。
また第6条の備考にも、「外国語(英語、ドイツ語、フランス語その他の各外国語に分ける。)の教科の指導法についてそれぞれ1単位以上」などが加わります。
教育の基礎的理解に関する科目には、「特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」が、道徳科、総合的な学習の時間等の指導法及び生徒指導、教育相談等に関する科目には、「総合的な学習の時間の指導法」が追加されます。
また現行第7条に規定されている、心身に障害のある幼児児童生徒についての教育実習に、1単位まで特別支援学校における学校インターンシップ(学校体験活動)の単位を含むことができることとされました。
これらの改正は、平成31年度入学の、教職課程を取る学生から適用されます。
ここで考えて欲しいことは、現職の教員は、これらの指導を受けていない事実です。乱暴な言い方をすると、自動車免許のオートマ限定の人がマニュアル車を運転させているのと同じだと思います。もちろん、教育委員会が主催する研修や校内研修、自己研鑽によりマニュアル車を運転しているのが現状です。ちなみに、必修となるプログラミング教育に関する指導法は追加されていないため、文部科学省は完全に現場へ丸投げしたということになります。
教員の働き方についても見直しがなされようとしていますが、新しい取り組みに対応するために準備する時間は必要です。また、きちんとした教育指導機関と時間がなければ、文部科学省が示す学習指導要領は計画倒れになってしまいます。この矛盾しする状況を文部科学省として真摯に向き合い最適解を示して欲しいと思います。

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SNSを生かしたいじめの相談体制探る WGが初会合

文部科学省は、SNSを活用したいじめなどの相談体制を検討しようと7月13日、同体制の構築に向けたワーキンググループ(WG)の初会合を同省で開きました。自治体やICT企業の取り組み事例が報告され、その後、「現在の子供たちの情報端末によるコミュニケーションの理解とそれに応じた体制」「相談を受け止める時間帯」などの意見が出されました。
前半は、自治体や企業のSNSを通じたいじめの相談事例の報告でした。
千葉県柏市教委は、いじめの早期発見や対応に向けて「STOPitアプリ」の学校への導入と活用を進めています。子供のコミュニケーションツール利用の変化を見据え、同アプリによってスマホからワンタッチで専門機関にいじめの報告や相談ができるようにしました。
いじめの傍観者を減らすための情報モラル授業の開発と実施も進めています。市内の中学校などで同授業を行い、生徒への意識啓発を進めながら、同アプリを使った相談も促しています。いじめ問題への対応を教育現場と連携した形で実践している点を強調していました。
facebook Japan㈱は、SNSのサービスとして「自殺防止フロー」を開始。サービス利用者から、いじめや自殺を感じさせるやりとりなどの報告を受け付け、該当者に支援のための告知情報を届けるなどを進めています。
LINE㈱は、SNSを活用したより良いいじめ相談に向けて、SNSと電話や対面相談を融合させた相談体制を検討していると説明。「SNS世代に合ったいじめ対策に取り組む自治体と研究者を支援する予算措置とスキームの作成」を求めました。
相談体制の構築に向けた議論では、実施規模や相談受け付け時間、相談者の資質などの論点が挙げられました。
委員からは「子供たちの多くが相談を寄せやすい時間帯は夜間だが、人的、物的な制限を視野に対応の在り方を考える必要がある」などと指摘。また「子供が求めている相談対応は、誰かに聞いてほしい、あるいは解決に向けた具体的なアイデアが欲しいなどそれぞれ。最初の相談の受け止めは24時間体制を重んじ、内容に応じた深い対応は適切な窓口につなぐ仕組みが良いのでは」との提案がありました。
子供にとって教員や親への相談は、時に思わぬ対応に走られたり、暴走したりする恐れを抱えている点も示されました。そのため、相談を受け止める人材には、子供に寄り添いやすい若者の力を借りる必要性なども訴えられました。
今後、いじめの相談体制を充実させることはとても大切だと思います。いじめが起きた時の対応も大切ですが、いじめを起こさない集団づくりも不可欠です。予防と対策は車の両輪なので、予防のための教育政策も早急に議論して欲しいと思います。

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「教育ロボット」で学ぶプログラミング


7月6日、ソフトバンクコマース&サービス株式会社は、中国深センの教育ロボット企業、メイクブロック(Makeblock)と共同記者発表を開催し、教育用ドローン「Airblock」を日本市場向けに投入することを発表しました。メイクブロックは昨年末からソフトバンクと提携し、教育ロボットのmBotシリーズの販売を開始しています。
現在31歳のCEO、王建軍(Jasen Wang)が率いるメイクブロックは、米国で始まり中国深センで独自の発達を遂げた個人が自由にモノづくりを行う「メイカームーブメント」をルーツとする企業。「モノづくりのハードルを下げ、誰もが自分のアイデアを実現できるプラットフォームを作りたい」という王の思いが、全ての製品に流れています。既に、数学と科学の授業にプログラミングを必須科目としているフランスでは、既に6000を超える公立中学校が同社のプログラミング教材を導入しています。
7月14日から日本での販売が開始されるメイクブロックのドローン製品「Airblock」(参考標準価格:2万2000円)はモジュール式のブロックで構成され、様々な形状に組み替えが可能。また、離着陸や旋回、宙返りなどの動作をプログラミングしておくことで、自動操縦で飛行させることも可能です。
メイクブロックの製品はアプリからドラッグ&ドロップ等の簡単な操作で、プログラミングが行える点も特徴で、ソフトバンクコマース&サービスは「ロボットを活用したプログラミング教育を通じて、親子で楽しく学ぶ環境を提供していく」としています。
政府の閣議決定で、小学校でのプログラミング教育の必修化が2020年に予定されるなか、注目が高まるのが「知育ロボット」の分野。メイクブロックの製品は世界で2万以上の教育機関で採用され、STEMロボット(STEMは科学、技術、工学、数学の頭文字)分野を代表するプロダクトとして知られています。
日本のプログラミング教育は教育機関に導入される直前の黎明期で、企業にとってはブルーオーシャンの分野です。既に民間教育機関におけるプログラミング教育は、雨後の筍の如く様々な内容のものが提供されています。学校教育におけるプログラミング教育のねらいは、論理的思考力を身に付けるだけでなく、トライアンドエラーを繰り返し主体的に課題解決を図る態度を養うことです。今回発表された「Airblock」は、このねらいに沿った教材だと思います。小学校の理科における電流の学習の延長にプログラミング教育を配置することが考えられます。そして、総合的な学習の時間で、「Airblock」を活用して自ら設定した課題を解決する学習計画を立てると楽しくプログラミングが学べると思います。小学校の教室に「Airblock」が飛翔する日も近いかもしれません。

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日本の教育の強みは「全人的な学び」と「授業研究」

国際的な視点から眺めてみると、日本の学校教育の「強み」と「弱み」は何なのだろう……。そんな研究報告がまとまりました。報告書は、文部科学省がベネッセコーポレーショに委託してまとめたものです。第3期教育振興基本計画(2018~22<平成30~34>年度)の策定に向けて、国際的な視点から見た日本の教育の「強み」と「弱み」を踏まえて検討するよう文部科学相から諮問されたことを受けました。
報告書によると、まず挙げられる強みは「全人的な学び」です。欧米などの諸外国では、先生の仕事が授業に特化されているのに対して、教科指導と生徒指導、部活動指導などを一体で行う「日本型学校教育」は、むしろ近年、国際的にも高く評価されているといいます。また、先生が研究授業を行って、先生同士で検討し合う「授業研究」も、授業の質を高める秘訣として、今では50か国以上に広まるなど、注目されています。日本では当たり前のことに思えることが、実は高い水準の教育を支えている要因になっているのです。
しかし、「強み」は「弱み」に転じることもあります。その最たるものが、「世界一忙しい」といわれる教員の労働時間の長さでしょう。報告書は、「教員数の確保が必要」だと指摘する一方、多様な専門職を交えた「チーム学校」や、地域社会とのパートナーシップ(協働関係)を推進することで解決しようとしていることを紹介しています。
また、改めて浮き彫りになっているのが、家庭への教育費負担の高さです。経済協力開発機構(OECD)の統計では、公財政教育支出が国内総生産(GDP)の2.9%で、OECD加盟国平均(3.9%)より1ポイント低く、下から2番目です。要するに日本は、国や自治体が教育にお金を掛けていないというのが、国際的視点から見た実情です。
代わりに教育費を出しているのが、家庭です。最も教育費が高いのは中学3年生であり、世帯年収が高いほど教育費が高くなる傾向があるなか、特に大きな差が出ているのが小学6年生と高校3年生です。「中学受験や大学受験にかける教育費が世帯年収によって異なっている可能性」という報告の指摘は、格差が進んでいるといわれる近年の日本社会にとって、真剣に考えるべき課題です。
報告書では、国立社会保障・人口問題研究所が2015(平成27)年に行った調査結果を改めて紹介しています。理想の子ども数を持たない理由は断トツで「子育てや教育にお金がかかりすぎる」で、負担として大きいと思われるもののトップは、大学・短大・専門学校などの教育費でした。
国や自治体が財政難に陥っていることも確かですが、だからこそ納税者でもある家庭の高い教育費負担を放置してはいられません。「教育政策としてのみならず少子化対策としても教育費負担の軽減が課題となっている」という報告書の指摘を、ぜひとも生かしてほしいものです。

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次期学習指導要領の解説書を公表 小中の授業観点示す


文部科学省は、小学校で平成32年度から、中学校で33年度から全面実施となる次期学習指導要領の解説書をまとめ、6月21日に、同省サイトなどを通じて公表しました。同日付で示されたのは、小学校の総則と全教科や領域、中学校は国語や社会など6教科。小学校の外国語活動では、中学年から外国語活動を導入し、聞く、話すを中心にした活動で、外国語に慣れ親しみ、学びへの動機付けを高めるなどを挙げています。
小学校の総則編では、教育課程の編成と実施、学習評価などについて解説しており、幼児期や中学校などとの接続の視点も示しています。
新たな教育課程編成の共通事項のうち、教科横断的な視点に立った資質能力の育成では、学校教育全体や各教科の指導を通してどんな資質能力の育成を目指すかについて、資質能力の3つの柱を踏まえて明確化するのが求められるなどと指摘しています。
「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善では、言語活動の充実やプログラミング体験、見通しを立てたり振り返ったりする学習、体験活動の充実を掲げています。
外国語活動では、小学校中学年から外国語活動を導入し、聞く、話すを中心にした活動を通じて外国語に慣れ親しみ、学習への動機付けを高めた上で、高学年から発達段階に応じ、段階的に文字を読む、書くを加え、総合的、系統的に扱う教科学習を進めるなどとしています。さらに加えて、中学校への接続も重視しています。
各教科の指導に関する具体的な解説が提示されましたので、小学校では来年度の移行期間に向けての準備も本格的になるでしょう。文部科学省は各都道府県教育委員会の指導主事を集めて、伝達講習を各地で開催するので、その後、都道府県教育委員会が各市町村教育委員会へ伝達することになります。日々の教材研究でなかなか次期指導要領の準備をする時間を確保することが難しいと思いますが、実施できる準備を今からしておく必要があります。ぜひ、各教科の解説を一通り目を通して、指導のポイントを把握してほしいと思います。

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就職活動から今後の教育を考える

経団連の協定に基づき6月1日から各企業は選考を開始して、大手企業から内々定をもらって喜んでいる学生も出てきました。売り手市場の報道もあるように、前年同期と比べても内定率が高くなっていますが、現状は本当にそうなのでしょうか。
大学のキャリアセンターの話によると、内々定を複数もらう学生と1つももらえない学生の2極化が進んでいるそうです。同じ大学内の話なので、入試における学力レベルはほとんど変わらないと考えられます。では、同程度の学力を持った学生なのに就職活動で大きな差が出てしまう原因はどこにあるのでしょうか。
企業選考の後半は段階を踏んで面接を受けます。そして、最終面接はその会社の社長や役員が面接官となり、学生の意思確認をします。この段階になると、その企業に入って、何ができるか、何をやりたいかといった意志表示が求められます。つまり、就職活動の流れに乗って、なんとなくエントリーシートを書いて適性検査を受けて面接までたどり着いても最終面接は通過しないのです。言い換えると、どれだけ主体的に就職活動をしているかが問われます。
義務教育から大学まで、ある程度、決まった道を歩いてきた学生にとっては、就職活動の時に、初めて本当に自分で考えて歩いていく道を選択することになるのです。内々定を複数もらう学生に共通している点は、大学生活を目的意識を持って過ごしてきたことです。そのような学生の割合はかなり低いのですが、やはり、企業が求める人材は共通しているとも言えます。
自分がどう生きていきたいか、そんな永遠のテーマのように思う命題ですが、やはり、義務教育の時から指導者が子供たちに問いかけることが大切だと考えています。自分が思い描く人生にするために何をしたいか、その最適解を就職活動の時に問われるのですから。

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キッズウイーク導入で考えること

公立小中高校の夏休みなど長期休業の一部を自治体ごとに別の時期に移して分散させ、親子が一緒に連休を過ごすことを促す取り組みとして考案されました。政府は2018年度からの導入を目指しており、経済財政運営の基本指針「骨太の方針」素案にも明記されています。具体的には、夏休みを5日間短縮して平日に振り向け、前後の土、日曜日と合わせて9連休にすることなどを想定しています。政府のねらいとしては、地域ごとの休みの分散で、観光地の混雑を緩和する効果も期待しています。
しかし、ここ20年で共働き世帯は増加し、日本は国際的に有休消化率が低いのが現実です。こうしたことから、SNS上では「有休を取りやすい環境づくりが先」「有休をいつとるか、国に指示されるものじゃない」「プレミアムフライデーの二の舞」などと厳しい声があがっています。さらに、子供の教育権を放棄するような、「親が休めるときに子どもを休ませてほしい」といった声まで出てきています。
キッズウイークが導入されると、現実的には平日の2〜3日有給休暇を土日合わせて取得し、5日程度の連休になります。これだけまとまった休みが取れると、国内旅行や海外旅行も行けそうです。しかし、家族旅行となると出費もお大きくなるので、経済的に余裕のある家庭に限定されます。
そこで、お金もかからず旅行気分を満喫する方法をご紹介します。名付けて、The traveling without moving です。はじめに、親子で行ってみたい国を選びましょう。ぜひ世界地図を広げて一緒に悩んでみてください。国が決まったら、その国の文化や習慣、お金の単位と価値なども調べましょう。そして必ず調べてもらいたいのは食事です。今やインターネットで調べればレシピや作り方も分かります。ここまで調べたらもう一緒に作るしかありませんね。材料を買い出しに行って一緒に作ってみましょう。また、食べる前に、必ずグーグルアースでその町並みを見ておくといいでしょう。さらに、有名なレストランなども見つけられたらいいですね。そのレストランで食べている気分で食事をしてみてはどうでしょうか。

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幼児教育 早期に無償化 骨太方針素案の財源は配当金総合課税を

政府は6月2日、経済財政諮問会議を開き、経済財政運営の指針「骨太の方針」の素案をまとめました。幼児教育・保育の早期無償化や大学進学の後押しなど、教育分野への投資を手厚くする方針を明記。財政再建については従来の財政健全化目標を維持しつつ、経済成長を重視する新たな指標を盛り込んでいます。
素案は、経済成長の底上げに向けた施策として「人材への投資」の重要性を強調した。そのうえで、「幼児教育・保育の早期無償化や待機児童の解消」を明記しており、財源については▽財政の効率化▽税▽新たな社会保険--の3案を挙げ「年内に結論を得る」としています。新たな社会保険は、自民党の小泉進次郎氏らが提唱した「こども保険」を念頭に置いているとみられる。
内閣府は無償化に1.2兆円が必要だと試算しており、年内に結論を出すことになっていますが、配当金総合課税を導入することで財源を確保できるのです。
本来は配当所得も総合課税のはずですが、租税特別措置法によって確定申告せず分離課税にできます。この場合の所得税は15%、住民税は5%です。所得が高く、総合課税の税率も高くなる富裕層ほど大きな恩恵を受ける仕組みになっています。
財務省資料によれば、配当所得が分離課税されたことによる「税収減」は2014年の4300億円から、15年8900億円、16年1兆200億円と急速に拡大しています。恩恵のほとんどは富裕層が享受したとみられます。
そこで、株式など証券の配当にかかる税金を総合課税方式に改めて1兆円の税収を生みだします。金融商品の配当収入は富裕層ほど多いため、総合課税への見直しは貧富の格差是正にも有効です。つまり、経済格差と学歴格差の連鎖を断ち切ることもできるのです。総合課税方式の導入に踏み切る政治判断を期待します。

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またも防げなかったいじめの悲劇

仙台市で4月26日に起きた市立中学2年の男子生徒(13)の自殺をめぐり、学校や仙台市教育委員会の対応に批判が集まっています。いじめをすぐに認定しなかったのがその要因です。
仙台市では2014年と2016年にも、いじめで中学生が自殺しています。しかし、今回事件の起きた学校では昨年6月と11月に実施したアンケートでは、亡くなった生徒が「いじめられている」「無視される」などと回答していたにもかかわらず、悲劇を防げなかったのです。
今年4月に着任した校長は4月29日の記者会見で、「一方的ではなく、互いに(悪口を)言い合っていたので、双方を指導して解消した」などと説明していました。仙台市教委も「いじめかどうか断定できない」とし、当初はいじめだと認めませんでした。
ところが、報道陣から次々に質問が飛ぶと会見後、市教委は一転して「いじめがあったことは否定できない」と発言。校長も後日、「いじめと言うべきだった」といじめを認めました。弁護士ドットコムニュースが、その理由を尋ねたところ、市教委は「アンケートで本人が申告している以上、法律上はいじめと認識すべきということで、訂正した」と説明しました。
今回の事件では、亡くなった生徒はアンケートに対し、2度「いじめられている」と回答していました。しかし、学校側はその後、本人と加害者の双方を指導し、被害申告がなくなったことから、いじめは止んだものと判断したのです。
教員からみたら、指導も行なっていたのにいじめが続いていたとは気づかなかったということでしょうか。しかし、亡くなった生徒からみたら、先生に相談したけれど、いじめは変わらず続き、解決の見通しが全く見えなく絶望の淵に立たされてしまったのでしょう。
いじめはどの学校でも起こり得ることです。しかし、教科指導や部活指導など、通常の業務だけでも時間外勤務が常態化している中で、いじめの対応をするとなると物理的に時間を確保することが難しいと考えられます。
やはり、抜本的にいじめの解決をサポートするチームを学校に派遣する制度の構築が必要だと考えます。スクールカウンセラーと弁護士、指導主事、そして教員がチームとなり、生徒の聞き取りや保護者との連絡などをとりながらいじめの解決を継続的に関わります。教員の多忙化を理由に尊い命が失うことなど絶対になくさなければいけません。現状のシステムが機能していないのですから、新たな取り組みを導入して、いじめによる自殺をゼロにすることが教育関係者の責務です。

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教育の機会均等で格差防ぐ政府の骨太方針から考える


政府が6月に取りまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」の骨子案が6月20日、明らかにななりました。今後の重点課題として「格差を固定化させないための人材育成・教育」と明記される見通しです。所得の低い家庭でも高等教育を受けられるよう授業料負担などを軽減し、機会均等を図ることで格差の固定化を防ぐことを目指します。幼児教育の段階的な無償化を含む「少子化対策、子ども・子育て支援」の検討も柱としました。
今週の23日の経済財政諮問会議で提示し、詰めの議論に入る予定です。ただ必要な財源については、骨太方針の策定段階では税や社会保険料など複数の選択肢を示すにとどめる見通しで、夏以降に検討すると先送りされそうです。
教育の無償化に向けて動き出す第一歩として評価できる内容だと思います。高等教育を無償化することも進めて欲しいのですが、初等中等教育の学費以外にかかる学習塾や通信講座の費用についても踏み込んで議論していただきたいと考えています。言い換えると、学校の学習で十分な教育ができることを目指して欲しいのです。
例えば、小学校における英語の教科化により、子供たちが英語を話す、聞く、読む、書くの4領域が評価されるようになります。一方、英語を指導する教員は、残念ながら英語の指導方法を学んでいない学級担任が行うことになります。すると、英語指導を学校の先生に任せられないから、英会話教室に通わせたほうがいいだろうと考える家庭も出てくるでしょう。さらに、英会話教室は、この機会を商機と捉えて様々な広告を打ち出すでしょう。すると、英会話教室に通わせることができる家庭と通わせたいけれど経済的に支出できない家庭が出てきます。つまり、学校教育に対する不安が学習塾に子供を通わせる動機になっているのです。この保護者の不安を解消させることが最大の課題なのです。
その課題解決の方法として、教員採用の条件を修士卒とし給与水準も現在より高く設定することで、優秀な教員を確保します。平成30年度から小学校の学習指導要領は学び方も含めて大きく変わります。知識を教えるだけでなく学び方についても指導する力が求められているので、それに対応できる教員養成は必須です。優秀な教員を養成し、学校で十分な教育が実践できるようになれば、学校教育に対する不安も解消し、学習塾に通うことなく自ら進んで学ぶ子供を育成することができるでしょう。これからの時代は、課題を見つけ学び続ける力を身に付けることが教育に求められているのですから。

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金融所得1億円以上に資産税課税を

日本の所得税率は現在、5%~45%まで7段階の累進税となっています。最高税率は45%で、4000万円以上の課税所得に適用さされています。よく誤解されるのですが、例えば、課税所得が5000万円の場合、丸々5000万円に45%が適用されるのではなく、4000万円を超える1000万円に対して45%の税率が適用されます。いわゆる超過累進税率方式を採用しているからです。
ここで、グラフを見てください。これは分母に所得、分子に所得税を採って、所得税負担率を計算したものです。対象者は確定申告を行った申告納税者だけで、企業が税金徴収を代行(源泉徴収)しているほとんどの会社員が含まれていないという限定つきながら、大きな傾向を示していると言えます。
日本の所得税の負担率は(課税)所得金額が1億円をピークに逆に減っていることが分かります。日本は累進課税制度ですから、本来であれば所得金額が増えるほど所得税負担率も上がっていかないとおかしいのではないでしょうか。
しかし現実はそうなっていません。100億円もの課税所得があると、その負担率は13.5%と下がっています。これはこのような巨額の所得を得る人は、株式の売買によるものがほとんどで、その場合、税制の優遇があるからです。
また、これはきちんと申告した人を集計したデータですから、正しく申告していない人もいるでしょう。専門家によれば、国税庁が把握していない数字を入れるとこの負担率はもっと低くなるだろう、とされています。
1億円を超える所得のある裕福層に対する課税は、税の応能負担の原則から考えても適切だと考えます。東京財団の森信茂樹上席研究員の試算によれば、いまの分離課税のままで、金融所得に対する税率を20%から25%に引き上げると、約1兆円の税収増になるといいいます。これを原資に、貧困対策や教育に回すこともできるのです。
裕福層の収支内容は一般庶民が知ることもできない世界のように思いますが、庶民には知られて欲しくない事実があるから誰も知らせないとも言えます。このような事実は、ネットで情報を得られるようになった現代では容易に知ることができます。
これからの社会をどのような形にするかは、現代を生きる私たちの責任です。生きにく社会だ、この閉塞感はどうにもならない、と諦めず、私たちが生きやすい社会にするために、どんな税体系にするのがいいのか、そして、その税をどの分野に使うのか、私たち一人ひとりが真剣に考え行動することが今、求められているのです。

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少子化問題に正面から取り組む

「こどもの日」を前に総務省が54日にまとめた人口推計(41日時点)によると、外国人を含む14歳以下の子どもの数は前年より17万人少ない1571万人で、36年連続の減少となりました。

総人口に占める割合は12.4%で43年連続の低下。比較可能な統計がある1950年以降、人数、割合とも過去最低を更新し、少子化が加速している状況です。ピークだった54年の2989万人の半減に近い数字となっています。

少子化が進む中で、その流れを変える政策はまだ見えてこないのが現実でしょう。労働の現役世代が高齢者を支えなければならない現在の社会福祉制度を抜本的に変えなければ、これから生まれてくる子供達にとって負担感しかありません。また、価値観の多様化によって、子供、家族、夫婦という関係に魅力が持てない若者も増えています。少子化の背景には、将来に対する漠然とした不安を子供を産める世代が持っていることが大きな要因だと考えています。

もう少し不安要因を分析すると、結婚によるメリットよりデメリットが大きいと考える現在の家族制度の課題、子育てにかかる教育費の課題、そして収入が低いため結婚することができない経済的課題などが考えられます。

女性の社会進出が進む中、夫婦別姓も認められているものの戸籍上はどちらかの姓を選ばなければなりません。民法を改正するのも一案ですが、フランスが行ったように未婚のカップルを認める社会を形成することは制度を変えなくてもできることです。もちろん、社会的に支えるための支援事業に取り組む必要がありますが、複数の政策を徐々に整備する姿勢が大切です。カップルの多様性を認める社会を醸成するのです。

子育てにかかる保育費や教育費の問題は、現在、高等教育まで無償化する動きが出始めています。その財源として私が考えているのは、資産を1億円以上持ってい裕福層に対する資産税の導入です。資産税の導入により、所得の再分配ができるのと同時に、高齢者の福祉政策に必要な財源としても利用できます。

資本主義経済では、富める者にお金は集まり、貧しい者はより貧しくなります。1980年代までの日本は総中流階級と言われるほど経済格差は大きくありませんでした。言い換えると、働いた対価として賃金が適正に支払われていました。現在は、企業が儲けた分を内部留保して労働者に還元していません。さらに非正規職員を増やすことで人件費を大幅に削減しています。そして、代表取締役の年俸は一般社員の数十倍となっているのです。経営層と労働層の乖離が大きくなっている現実からも資産税の導入が必要なのです。

社会に出て働き始めた若者たちが、将来のために貯蓄することを現実的だということは、それだけ将来に対して不安を持っている行動の現れだと考えなければいけません。実現不可能な夢を語る必要はありませんが、30年後も安心して生活できる社会保障制度を真剣に考える時期だと少子化問題を通して思いました。


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中学教諭6割が過労死ライン=月80時間超相当の残業-授業、部活増加・文科省調査

文部科学省は4月28日、2016年度の公立小中学校教員の勤務実態調査の速報値を公表しました。中学教諭の約6割が週60時間以上勤務しており、過労死の目安とされる水準を超過していました。前回06年度の調査に比べ、教諭や校長ら全職種で勤務時間が増えています。授業時間が増加したほか、中学では土日の部活動の時間が倍増。松野博一文科相は「看過できない深刻な事態」と指摘しており、同省は外部人材や事務職員の活用などを通じ、各学校の「働き方改革」を支援する考えです。また、同省は「学校が教員の長時間勤務に支えられている状況には限界がある」として、中央教育審議会に改善策の検討を諮問する予定です。
調査は全国の小中各400校を抽出し、16年10~11月のうち7日間の勤務時間を、教諭や校長などの職種別、授業や部活動、会議などの業務別に調査。小学校397校(8951人)、中学399校(1万687人)から回答を得たものです。
調査結果によると、教諭の平日1日当たりの平均勤務時間は小学校で前回調査から43分増の11時間15分、中学で32分増の11時間32分でした。小学校では33.5%、中学では57.6%の教諭が週に60時間以上勤務し、20時間以上残業していました。これは厚生労働省が過労死の労災認定の目安としている月80時間超の残業に相当します。
業務別に見ると、1日当たり「授業」が小学校で27分、中学で15分、「授業準備」も小学校で8分、中学で15分増加。「脱ゆとり教育」の学習指導要領導入により、前回調査時から授業コマ数が増えた影響とみられます。中学では土日の「部活動・クラブ活動」が前回の1時間6分から2時間10分にほぼ倍増していました。
中学校の部活動を外部委託したとしても、本来の教科指導にかかる準備時間が増加している状況なので、抜本的な見直しを図らなければ教員の労働条件改善されないと考えています。そもそも、教科指導準備が不十分だと理解に時間のかかる児童生徒に対する指導も不十分になり、学力格差を拡大させる恐れもあります。さらに、教科の指導内容が準備不足で充実していなければ、学習塾の優位性が高くなり、その結果、家庭の教育費の支出額が増加することに繋がります。文部科学省は、教員の本来業務である教科指導の質が向上するような労働環境を整備する責務があります。国民が公教育の質に安心できる施策を実施してほしいと思います。

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地域格差が学力格差を生む

4月11日に全国学力・学習状況調査が実施されました。教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図ることが主な目的です。そのため、調査結果から地域格差が判明したとしても、文部科学省は教育政策として格差是正の方法を考えるしかありません。
ここで、昨年度の調査結果のグラフをご覧ください。小学校の算数Aの正答数の割合を都市部とへき地で比較しました。大きな差はないように見えるのですが、15問、16問と正答数の多い層に差異が見られます。特に全問正解者の割合は大都市がへき地より3.7ポイント高い結果となっています。また、正答数の少ない4問から13問は、へき地が大都市より割合が高くなっています。つまり、へき地では学力優秀者が少なく学力の中間層以下が多いと言えます。
それはなぜでしょう。前回、引用した平成28年度家計調査の補助教育費を大都市と地方都市で比較すると、支出額に2.4倍の差がありました。へき地では、学習塾に行きたいと思っても近くにないため塾に行けない場合もあります。市場原理に任せれば、子供の数が少ない場所に塾をつくっても収益が少ないと考えるため、その結果へき地に塾はほとんどありません。教育に市場原理を持ち込むと、このような結果が顕在化する象徴的な事象だと思います。
この結果を改善するために文部科学省としては、へき地教育に力点を置く政策を考えなければなりません。しかし、へき地の現状は学校の統廃合となっています。経済原理の追求により、費用対効果が行政に持ち込まれてきているので、弱者や少数の意見は切り捨てられてしまうのです。
学力格差を経済格差と地域格差の2つの方向から見てきましたが、早急な政治による手立てが必要だと考えています。次代を担う子供たちの教育を真剣に考えなければなりません。そのためには、私たち大人が課題意識を持って自分に何ができるのか考え行動に移すことが何よりも大切です。今後、その指針となるような情報を提供していきます。
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中流階級は総貧困化する

経済格差が教育格差を再生産している原因は、塾や家庭教師の補習教育費を高所得層は手厚く支出しているからです。さらに、中流階級は総貧困化する恐れがあることが分かりました。 
今回、総務省が実施している家計調査の補習教育費を五分位階級別の経年変化をグラフにまとめました。「五分位階級」とは、全ての世帯を毎月の実収入(現金収入)、世帯主の定期収入、世帯の年間収入などを収入の低い方から順番に並べ、それを調整集計世帯数の上で五等分して五つのグループを作った場合の各グループのことで、収入の低い方から順次第I、第II、第III、第IV、第V五分位階級といいます。それぞれの階級について収入と支出をまとめたものが「五分位階級別」の結果となり、所得階層別に家計収支をみたり、所得の格差の動きをみたりする際に有用です。
まずはじめに平成28年の第Ⅱと第Ⅴを比べると、第Ⅱの15倍の額を第Ⅴは支出しています。また、第Ⅲの3.6倍の額を第Ⅴは支出しています。乱暴な言い方になりますが、第Ⅱは今の15倍勉強しないと第Ⅴに追いつけないことになります。家庭の経済的な違いにより、学習機会にこれほどの差があることは知られていません。現状の経済格差問題を放置して、教育格差問題を公教育に解決させようとするのは、無謀な政策だとしか考えられません。
さらに、第Ⅲの平成28年の補習教育費は第Ⅱの平成元年と同水準であることから、およそ30年後は第Ⅱの収入になると推察できます。同様に第Ⅳの平成28年の補習教育費は第Ⅲの平成元年と同水準であることから、30年後は第Ⅲの収入になると推察できます。一方、第Ⅴは30年後も第Ⅴの収入を得られると考えれれますので、第Ⅴより下の層は相対的に総貧困化すると予想出来ます。富めるものはより富、富のないものは貧困化することを意味します。
この問題を解決するためには、所得の再分配と公教育の復権が必須です。具体的な解決方法は、改めて提案したいと思います。
経済格差が教育格差を再生産している原因は、塾や家庭教師の補習教育費を高所得層は手厚く支出しているからです。さらに、中流階級は総貧困化する恐れがあることが分かりました。 
今回、総務省が実施している家計調査の補習教育費を五分位階級別の経年変化をグラフにまとめました。「五分位階級」とは、全ての世帯を毎月の実収入(現金収入)、世帯主の定期収入、世帯の年間収入などを収入の低い方から順番に並べ、それを調整集計世帯数の上で五等分して五つのグループを作った場合の各グループのことで、収入の低い方から順次第I、第II、第III、第IV、第V五分位階級といいます。それぞれの階級について収入と支出をまとめたものが「五分位階級別」の結果となり、所得階層別に家計収支をみたり、所得の格差の動きをみたりする際に有用です。
まずはじめに平成28年の第Ⅱと第Ⅴを比べると、第Ⅱの15倍の額を第Ⅴは支出しています。また、第Ⅲの3.6倍の額を第Ⅴは支出しています。乱暴な言い方になりますが、第Ⅱは今の15倍勉強しないと第Ⅴに追いつけないことになります。家庭の経済的な違いにより、学習機会にこれほどの差があることは知られていません。現状の経済格差問題を放置して、教育格差問題を公教育に解決させようとするのは、無謀な政策だとしか考えられません。
さらに、第Ⅲの平成28年の補習教育費は第Ⅱの平成元年と同水準であることから、およそ30年後は第Ⅱの収入になると推察できます。同様に第Ⅳの平成28年の補習教育費は第Ⅲの平成元年と同水準であることから、30年後は第Ⅲの収入になると推察できます。一方、第Ⅴは30年後も第Ⅴの収入を得られると考えれれますので、第Ⅴより下の層は相対的に総貧困化すると予想出来ます。富めるものはより富、富のないものは貧困化することを意味します。
この問題を解決するためには、所得の再分配と公教育の復権が必須です。具体的な解決方法は、改めて提案したいと思います。

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人が喜ぶことをしよう

4月は新しい学年の始まりの時期で、子供達も新たな気持ちでスタートを切りたいと思っています。クラス替えもあれば新しいクラスには仲良くなれそうな友達はいそうか、新しい教科書を眺めて勉強についていていけるかなど期待と不安が混在していることでしょう。そして、新しい担任はどんな先生なのか興味津々です。この意欲の高い時期に適切な動機付けができるかでどうかで、一年間の成長度合いが大きく変わると思います。
これからの話は、私が学級開きの時に子供達に話していたことです。「私は基本的には優しいですが、友達を傷つけた時には怒ります。人を傷つけるとは、身体的なものだけでなくいじめなどの精神的なものも含みます。」教壇に立っていた時にも、いじめは絶対に許さない私の意志を子供達に伝えたいと考えてこのような話をしていました。しかし、今思うともっと良い伝え方があったように思います。なぜならば、私が話した内容は禁止事項を伝えただけだったからです。言い換えると、宿題を忘れてはいけません、廊下を走ってはいけません、暴力をふるってはいけませんといった禁止事項を聞かされても楽しくありません。
もし、今、子供達にに話をするとしたら、一言、「人が喜ぶことをたくさんしよう。」これに尽きます。子供達は、やってはいけないことをこと細かく指示され続けると、注意されていないことならやっても良いという思考になります。最後は、「先生がダメだと言わなかったから◯◯(悪いこと)をやってしまった。」と、自分の言動の責任を他人の責任にするようになります。一方、「人が喜ぶことをたくさんしよう。」は、どんなことをしたら喜ぶのだろうという思考になります。このクリエイティブな発想はクラスの友達にも派生すると同時に、人の喜びが自分の喜びにも繋がる好循環が生まれるのです。そんな学級でしたら、みんなが優しくなれるのではないでしょうか。不寛容な時代と言われているからこそ、自分も他人もハッピーになれる最適解を追求する力を育てて欲しいと思います。
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教師は英語に自信なし 保護者も先生の英語力に不安…

10年ぶりに改訂される、小中学校の新学習指導要領。英語に親しむ活動を小学3年から始め、小5からは英語が正式教科になります。しかし、現場の教師には不安が多く、保護者の方も教師の英語力を懸念していることが、ジャストシステム(徳島)の新学習指導要領に関する意識調査で分かりました。

公立小学校でクラス担任をしている教師250人と、今年4月に小学14年生になる児童の保護者1,116人を対象に調査。それによると、外国語授業実践に、75.2%の教師は「自信がない」と答えています。具体的にその英語力をたずねたところ、最も多かった答えは「初歩的な単語やフレーズを言える」(35.6%)で、「単語や定型句を並べてコミュニケーションがとれる」は27.5%。「自信がない」が20.7%でした。「日常会話はできる」は11.3%、「おおよその自分の考えを伝え、相手の考えも要点は把握できる」になると3.6%、「自分の考えを明確に伝え、相手の考えも正確に理解できる」はわずか1.4%だったのです。

英検でみると、最も多くの教師が取得している英検の級は、中学卒業レベルである「3級」。未取得者も36.5%。学習指導要領改訂内容について、ほぼすべての教師が「教師への負荷が高い」と答え、7割が「現行のままの方がよい」「外国語よりも、自国語教育をもっと充実させた方がよい」としています。

一方、保護者の6割は、外国語の教科化や外国語活動の前倒しに賛成、2割以上が、小学校卒業までに「英検5級から3級を取得させたい」と答えていました。もっとも、保護者の最大の懸念事項も、「教師の英語力」(41.3%)。「これまで英語を習ってきた児童と、学んでこなかった児童の学力差」(33.0%)を心配する声も多かった結果となりました。

調査結果は想像どおりのもので、やはり教師の英語力を向上させることが課題として浮き彫りになりました。この課題解決のために教師の自己研鑽に期待するだけでは、教育行政としての不作為を指摘せざるを得ません。教科として英語を教えるので、話す・聞く・読む・書くの4領域を評価しなければならないため、正確な発音と聞き取り能力が指導者には求められます。小学校教員の皆さんは春休みではありますが、3日からは新年度の担当も決まり授業準備が始まります。心の休養も充分に取りながら、英語の指導力向上のプログラムを構想してください。そして、個々の教師の英語スキルに合わせて能力向上が見込める支援政策を各自治体の教育委員会に強く要望します。

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道徳教科書に意見244件 初の検定 いじめ、全社扱う

文部科学省は3月24日、2018年度から使われる小学校の道徳と高校の各教科の教科書の検定結果を発表しました。小学校道徳は初めての検定となります。申請した8社の全24点(66冊)が合格しましたが、同省は「国や郷土を愛する」「公共の精神」などの学習指導要領の内容に従っているか、細部に至るまで検定意見を付けました。また、全点がいじめ問題を取り上げています。道徳は現在、「教科外の活動」との位置づけで、検定のない副読本が使われていますが、教科になるため、授業での使用義務がある教科書を使うことになります。
 申請した8社の教科書の内容は、いずれも道徳的な場面を描いた読み物の前後に、登場人物の心情理解や自分の考えなどを尋ねる設問がつく形となっています。
同省は全24点(66冊)に誤記なども含め244件の検定意見を付け、出版社はいずれも修正しました。うち43件が学習指導要領に沿った記述を求める意見でした。例えば、指導要領で学ぶこととされている「友情、信頼」といった項目だけでなく、「学び合って友情を深め、異性についても理解」など項目を具体的に説明した部分にも全て沿うよう求めました。
道徳の教科化は第1次安倍政権でも検討されましたが、世論の反対もあって実現しませんでした。その後、11年に大津市の中学生がいじめで自殺したことが社会問題化した際、安倍晋三首相肝いりで発足した「教育再生実行会議」が対応策として「人間性に深く迫る教育を行う」として教科化を提言。実現した経緯があります。
教員は道徳について子どもを文章で評価しますが、内面を評価できるのか、子どもが教員が望むように振る舞うおそれはないか、などの懸念もあります。道徳の教科化は英語の教科化と同じように、教員に対する資質と能力が求められる政策となっています。
道徳の評価として軸にしたいのは、自他共に幸せに思えるかどうか、この一点だと考えています。多様な価値観を認めつつ最適解を考えるためには、軸が必要です。その軸を設定することで、道徳的な判断が必要な時に役立ちます。子供たちは教員が知らない価値観を持っているかもしれませんが、道徳の授業を通して、教員も子供も共に多様な価値観に触れながら、どう生きていくことがみんなの幸せにつながるか話し合って欲しいと思います。このような時間を毎週、積み重ねていけば、子供たちの心の成長に教員も気づき評価もできると思います。子供と共に教員も成長できる楽しい時間にしてください。
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部活の外部指導者、学校職員に位置づけ

文部科学省は3月14日、学校教育法施行規則を改正し、中学や高校で部活動を指導する地域のスポーツ指導者らを、新たに学校の職員である「部活動指導員」と位置づけました。
これまで法令上の規定がなかった外部指導者の位置づけを明確にすることで活用を促し、教員の長時間労働の是正や生徒の技術力向上につなげる狙いがあります。同規則は、4月1日に施行します。
指導員は、運動部や文化部で実技指導や大会への生徒の引率を行い、顧問になることもできます。文科省は14日、全国の教育委員会などに対し、指導員の報酬や災害補償などを定めた規則や定期的な研修を整備するよう通知を出しました。
この規則改正を受け、運動部の全国大会を主催する日本中学校体育連盟(中体連)、全国高等学校体育連盟(高体連)、日本高等学校野球連盟(高野連)の3団体も、原則教員に限っていた大会への生徒の引率を指導員でもできるように大会規則を見直す方針です。
この改正により、外部指導者の役割と位置づけが明確になったと言えます。そして、部活動の指導に消極的で負担感があった教員にとっては朗報でしょう。この流れにより、今まで部活の指導に当てていた時間を教材研究や生徒指導に振り分けることが可能となります。つまり、保護者からすると、今までは「部活に熱心な先生」という評価軸もありましたが、今後は「授業の上手い先生」という評価軸で見られることになります。言い換えると、学校の先生たちは、地域の塾の先生たちと比較されることになるのです。さらに、高校や大学に進学する受験対策や進学先の情報も大手の塾と競争することになります。教員の本来業務である教科指導と進路指導において、指導技術と進路情報のたゆまぬ努力をしなければ生徒の心は離れてしまうでしょう。部活動で生徒と繋がるチャンネルがなくなることを見越して、日々の研鑽に励んでいただきたいと思います。
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小学校英語で資格を新設 要件満たす者に「LETS」

平成32年度から小学校で全面実施される次期の学習指導要領に関連して、静岡県教委は、県独自の小学校英語指導資格「LETS」(レッツ=Licence for Elementary Teaching in Shizuoka)を29年度に新設すると発表しました。資格要件を満たす教員を計画的に配置していく予定です。
現行の教員免許法では、小学校では教科としての英語を指導できる教員は、中学校英語免許取得者であり、文科省では小学校教員が中学校英語免許を取得するのを推奨しています。県教委は32年度までに、英語免許保有者か「LETS」保有者を全小学校に最低1人配置する方針です。
「LETS」の認定対象者は、認定年度の4月1日時点で、臨時講師を含む教員経験が3年以上あり、23年度以降の外国語活動で2年以上の指導経験のある、政令市を除く県内公立小学校の教頭、主幹教諭、教諭です。
認定基準は、国の英語教育推進リーダーとして認証された者(認証予定の者)か、次の①~⑥の要件のうち2つ以上を満たす者。
①英語能力に関する資格取得者(英検2級以上、TOEICL&R550点以上、TOEFLiBT60点以上、IELTS4・5以上等)②英語教育推進リーダーによる「中核教員研修会」を受講し、校内で伝達研修を実施した者③英語教育推進リーダーによる「中核教員研修会アドバンスト・コース」を受講した者④小学校外国語活動の教科等指導リーダーの経験を有する者⑤県や市町等の小学校外国語教育に関する研修会や研究指定等で授業者として授業公開した者または助言者等としての指導経験を有するもの⑥その他、上記に準じた経験または資格を有する者。
県教委は「LETS」認定とあわせて、教員の養成・採用・研修を通じて義務教育段階の英語教育を推進するために、▽県内大学に対して現行カリキュラム内の可能な範囲で英語指導力のある学生の養成を要請▽教員採用選考での加点(小学校教員受験者は、中学校英語取得者・取得見込み者に5点加点。または英語に関する資格所有者に3点または5点を加点)▽30~31年度中に外国語活動に特化した校内研修を全小学校で実施する他、国・県の事業を活用して研修を充実させる――などを実施するそうです。
小学校における英語指導の課題は、教員の指導力向上につきます。県教委は、現場の教員の中から指導的立場になる資格を付与することで、各学校での英語指導の中核として活躍することを期待しています。やはり、学校で推進する教員がいることで指導力の向上が見込めるからです。また、校内研修の実施と合わせることで、非常に効果的な方法です。ぜひ、他の都道府県の教育委員会でも、英語の指導力向上のための政策を打ち出して欲しいと思います。

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英語教育の3つのコツ

「高校までに習った文法事項は大体理解している」「TOEICは高得点」「日頃からコツコツ勉強中」……、なのに、話せない。そんな「知識はあるのに話せない」状態を脱却するには、どうすればよいでしょうか?
今回は教師も生徒も英語オンリーという一見「非常識な授業」で注目を集める東京都立両国高等学校の英語教諭、布村奈緒子先生を紹介します。教えた生徒はネーティブと英語で雑談するようになり、入試でも結果を残すなど、確実に成果を上げています。普通の公立高生が普通に英語を話せるようになる授業のエッセンスの中から、独学でもすぐに取り入れられるコツを3つお伝えします。
コツ1:英語「で」何を話すかに重きを置く
私を含めた多くの読者の方が受けてきたのは、教師が発音する英語を復唱することを繰り返し、場面に応じた英語の型を覚えていく「オーディオリンガル法(AL)」に基づいた授業です。これは、あいさつや定型文などを機械的に反復することで、反射的に言えるようにする指導法です。
けれども現在では、言語習得の研究で「“意味”が含まれない言葉は習得できない」ということがわかってきています。つまり、教科書や参考書などの「出来合いの言葉」を繰り返すだけではダメで、自分にとって意味のある言葉を使うことで初めて、英語ができるようになるということです。 「理屈はわかった。でも実際のところ、何を話せばいいのか?」
そう疑問を持たれた方もいらっしゃると思います。私がおすすめするのは「いま現在の自分にとって必要なこと・好きなことを英語で話題にできるようにする」こと。必要性に即したジャンルなら、必然的にインプットやアウトプットの機会が多くなるからです。結局、話題の中心になるのは「自分自身のこと」や「自分の身の回りのこと」ですから、自分の仕事や興味のあることを英語で話せるようにしておくと、すぐに役立ちます。
コツ2:意見や感想をアウトプットすることを想定する
言語習得には、インプットだけでなくアウトプットも重要、というのはご存じの方も少なくないと思います。「でも、会話練習に付き合ってくれるようなネーティブの知り合いがいなくて……」と思っている方に伝えたいのが、アウトプットの練習は1人でもできます、ということ。
先ほど、英語の習得にはコミュニケーションが重要なことはお話ししましたが、コミュニケーションとは「情報を共有すること」ですから、1人で「書いたり」「話したり」するのも、「その情報を共有したい誰か」を想定すればいいのです。
英語で読書をしたり、ニュースを聞いたり、ドラマを観賞したりなどといったインプットの作業も、「どこが面白かったか、どう感じたか、どう考えたか」という自分の感想や意見を誰かにアウトプットすることを想定すれば、コミュニケーションを取るのと同じような効果が期待できます。想定するだけでなく、実際に映画の感想をSNSに書いてみたり、誰かに伝えるつもりで1人でしゃべってみたりすれば、なお効果的です。
コツ3:「簡単な英語」「話しやすい相手」から始める
英語が話せない理由の1つに、「難しい単語を使おうとしてしまう」ことがあります。特に、受験でたくさんの英単語を覚えた人は、日本語に引きずられて難しい英単語を使おうとしがちです。そして言葉に詰まり、「やっぱり英語で話すのは難しい……」と思ってしまうのです。会話の上達には、子どもでもわかる、やさしくてシンプルな英語を使うのが大事だということを、ぜひ覚えておいてください。
たとえば、「これは栄養がある」と説明するとき、「nourishing(栄養がある)」という単語が出てこなくても、「This is good for your health.(これは健康に良い)」と言えば、言いたいことは十分伝わります。それでいて、この言い方が幼いかというと、そんなことはありません。ネーティブも、日常会話で使っているのは大部分が簡単な表現です。
このような会話を、まずは日本人同士でやってみましょう。「英語で誰かと話す」と言うと、たいていの人が外国の、それも英語圏の人と話すことをイメージするようですが、日本人同士で英語を使って話すことは、意外と効果的です。
いかがでしたか?高校の英語の授業の話でしたが、中学校だけでなく教科として教える小学校の英語の指導にも役に立つと思います。英語は自分の考えを伝える道具なのですから、その本質を理解した上で教員が指導することが、使える英語を子供達が習得するポイントになります。英語教育に携わる先生方のヒントになれば幸いです。

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自殺した女性教師の公務災害を考える

東京都西東京市の市立小学校の新任女性教員(当時25歳)がうつ病になり、2006年12月16日に自殺しました。これが公務災害にあたるかどうかが争われている裁判で、東京高裁(後藤博裁判長)は2月23日、1審に続き、自殺は公務災害だとする判決を出しました。
遺族と弁護団が判決後、霞が関の司法クラブで記者会見して、父親(68歳)は「(1審判決後に被告の)地方公務員災害補償基金(地公災)が控訴したと知ったとき、私たちの落胆と失望は筆舌に尽くしがたかった。これ以上遺族を苦しめないでほしい」と、最高裁への上告を思いとどまるよう訴えました。
判決によると、女性は2006年4月から西東京市立の小学校で新任教諭として働き始めました。4月7日、母に送ったメールでは「仕事場がとてもみんな優しくて楽しくて雰囲気もいいから本当にいい学校にきたなあって思ってる毎日です」と綴っていました。しかし、女性は2年生のクラス担任として、直後からいくつもの難しい対処を余儀なくされたのです。
担任だったクラスの児童が、校外で梅の実を食べて問題になり、管理職に怒られた。クラス児童の万引き疑惑。抗議する保護者への対応。教材費の滞納問題。上履きや体操着が次々と隠された。女性は6月ごろ、同僚に次のように話していました。「学校内のトラブルを校長に相談すると、まず『あなたが悪い』と怒られるし、言えずにいると後になって『何で言わなかったのよ』と怒られるし、どちらにしても怒られる」相次ぐ難しいトラブル。管理職からの厳しい言葉……。女性はこんな風に訴えるようになったのです。「学校に行きたくない」「身体がつらい」…
長時間労働もありました。6月21日の親へのメールには「仕事、毎日睡眠削っても全然おいつかんぐらいで…」と書かれていました。判決では4〜6月に43時間〜74時間程度の時間外労働が認定されています。そして、女性は6月末〜7月はじめにうつ病を発症しました。1カ月ほど休職したのですが、このままでは教師を続けられなくなるかもしれないという不安が大きかったようです。復職希望が強かったこともあり、医師は「理不尽なストレスがなければ就労可能」と診断。女性は薬を飲みながら仕事を続けたのです。
女性は10月には母親にこんなメールを送っていました。「いつも電話ありがとう。元気が出る。毎日夜まで保護者から電話とか入ってきたり連絡帳でほんの些細なことで苦情を受けたり…つらいことだらけだけど…薬飲みながらでも体が動くうちはなんとか行き続けることにした。 病院の先生にもそう告げて、そのための薬に変えてもらうことにした。 泣きそうになる毎日だけど。。。。 でも私こんな気分になるために一生懸命教師を目指したんやないんに…おかしいね。 今日も行ってきます」
女性は10月26日から病気休暇をとりました。しかし、10月30日に自殺を図り、意識が戻らないまま、12月16日に亡くなったのです。
ここで、女性が発症したうつ病について考えてみたいと思います。こころの病気は、元々の性格が影響していることが少なくありません。これを「病前性格」と言います。同じ出来事であっても、「楽しい」と受け取る人もいれば「つらい、苦しい」と受け取る人もいてそれぞれの性格によって受け取り方は大きく異なります。うつ病には、うつ病になりやすい病前性格が指摘されています。典型的なうつ病の患者さんに多い病前性格として、「メランコリー親和型人格」や「執着気質」などが挙げられます。具体的には、真面目で熱心、責任感があり、人の道に外れるような事をする人は許せないという性格です。世間一般的には、「優等生」「常識人」に当たる人たちで、別に悪い性格というわけではありません。むしろ、他者の事を考え、自分を犠牲にしてまで任務を全うするため、「すごくいい人」「信頼をおける人」です。つまり、一般的に「いい先生」と呼ばれる人なのです。
ですが、責任を自分一人で抱え込んだり、なんでも自分のせいにしてしまったり、自分を犠牲にしすぎて傷ついてしまう事も多い性格でもあります。ルールや秩序を頑なに守る反面で、融通が効かずに環境変化にも弱い一面もあります。このような性格傾向を持つ方は、うつ病になりやすいと言われています。したがって、このような性格の先生が過度なストレスを受けるとうつ病を発症すると言えるでしょう。
この女性教師が自殺に追い込まれるまでに、周囲の人たちが関われるチャンスが何度もあったと思います。職場の同僚、家族、診断をした医師、そして教育委員会が命を救う機会を活かせなかったのです。今回の裁判では、公務災害として認定されることを私も願っていますが、認定されたとしても新採教員が思い悩みながら子供たちと向き合っている現状は変わりません。職場の同僚を支援するシステムを校内だけでなく自治体レベルで構築する必要があると思います。新採教員に対する指導助言と支援ができるマンパワーを自治体が予算化して確保することで課題解決ができます。必要なところに予算をつけるのは自治体の首長の責任なので、教育現場の課題を把握し職責を果たして欲しいと思います。
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横浜市教育委員会、いじめと認定

福島第一原発事故で福島県から横浜市に自主避難した中学1年の男子生徒がいじめを受け不登校になった問題で、横浜市教育委員会の岡田優子教育長は13日、男子生徒が同級生らにおごらされたとする金銭授受を「いじめと認定できない」としてきた見解を撤回し、「金銭授受もいじめの一部として認識する」と述べて謝罪しました。
「お子様の気持ちをしっかりと受け止められなかったことに、あらためておわびしたい。申し訳ございませんでした」。岡田教育長は記者会見の冒頭でこう述べ、深々と頭を下げたことが報道されました。
この問題を巡っては、市教委の第三者委員会が昨年11月、金銭授受部分はいじめにあたらないと答申。岡田教育長も答申に沿い、市教委として金銭授受をいじめと認定することは難しいと議会で答弁していました。
しかし、男子生徒側は、金銭授受は2014年5月の約1カ月間で約150万円にのぼり、いじめにあたると主張。市教委に多数の抗議が寄せられた結果、林文子市長も「子どもに寄り添った発言ではなかった」と謝罪していました。
13日は男子生徒の代理人弁護士が市役所を訪れ、「どうして市教委は一部だけを見て、全体を見てくれないのか」とする、市長宛ての男子生徒の手紙を提出。これに答える形で、岡田教育長が会見を開きました。
見解を変えた理由について岡田教育長は「ご両親や代理人からお子様の気持ちを改めてうかがった。お子様の気持ちを受け止めることが大事と考え、舵を取り直すことにした」と述べました。1月10日に男子生徒側から申し入れを受けたことがきっかけだったということです。第三者委の答申も金銭授受の背景にいじめがあったと指摘していたことや、いじめ防止対策推進法によるいじめの定義にもあてはまることから、見解を変えたそうです。
男子生徒は小学2年だった2011年8月に、福島県から横浜市に転校した。第三者委の答申では、小学2~4年の時期に「菌」と呼ばれるなどのいじめがあったと認定。5年になると「プロレスごっこ」でたたかれるようになった。男子生徒は威圧感を感じ、家からお金を持ち出しておごった。答申はこの金銭授受についてはいじめではなく、法に触れたり、将来罪を犯したりする恐れがある、「非行・ぐ犯行為」にあたると指摘していました。
今回の横浜市教育委員会の言動から、日本におけるいじめ認定の難しさを考えてしまいます。言い換えるといじめられた子供の思いを尊重することがいかに難しいかということになります。さらに言うと、一人ひとりの子供の想いに教育現場にいる全ての先生方が寄り添えているかということでもあります。人の想いに寄り添う感受性が鈍ると、横浜市教育委員会のようなことが起きるのです。先生の姿をみながら子供たちは成長します。いじめを含めた善悪の価値観をどれだけ自分の言葉で子供達に伝えられるか、そこで教員の真価が問われると思います。先生方には善悪の感性を磨くことと伝える力を身に付けて、子供たちの人格形成に深く関わって欲しいと願っています。
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英語教員、TOEIC“合格”2割を考える

京都府教育委員会は2月9日、京都市を除く中学校の英語科教員で、本年度に英語能力試験TOEICを受験した74人のうち、府教委が目標として課した英検準1級に相当する730点以上を獲得したのは16人で、約2割にとどまることを明らかにしました。最低点は280点で、500点未満も14人いたそうです。府教委は「英語科教員の資質が問われかねない厳しい状況だ」とコメントしてました。
国は、次期学習指導要領で、中学校の英語科の授業は基本的に英語で行うことを盛り込む方向で、2017年度内に中学校教員で英検準1級以上50%という目標を掲げています。
そのため府教委は、本年度から英検準1級以上を取得していない英語科教員に、英語のコミュニケーション能力を測るTOEICの受験を促し、受験料を負担する事業を約750万円かけて始めました。
対象となる50歳未満の教員は約150人で、本年度は74人が受験しました。まず昨年6月に試験実施したところ、4人しか達成できなかったそうです。その後、8月と10月に集中セミナーを3日間実施。その後1月までに追加で8人が合格しました。ただ受験者の平均点は、1回目が578点、2回目が588点で、セミナーや自習を経ても10点しか上がっていない結果だったそうです。
今回達成しなかった教員は、来年度に再受験させるとともに、個別の課題に応じた自習を促し、支援も行う予定だそうです。学校教育課は「採用試験に受かっているのだから、英語力はあるはずだが、教師生活の中でさびついているのではないか。中学校教員は、多忙化が課題だが、学校にも理解を求め、勉強する体制を整える」としています。
一方、中学教員全体での英検準1級相当の達成率は昨年度の25・8%から34・5%に増えたと京都新聞は伝えていました。
この問題を考えるときに必要なことは、英語教員の英語力と指導力を分けることです。今回、英語力を測定するためにTOEICを受験させて判定しています。TOEICは話す、書くテストですが、英語を指導するためにはこの他に読む、話す技能も必要です。それは、この4技能を生徒に身に付けさせなければいけないからです。
さらに英語を教える指導力は、生徒の実態を把握し学習計画を立てて、適切な教材を開発して指導し評価する一連の教科指導ができる能力です。
今回の報道から分かることは、指導力があれば英語力がなくても英語教員は勤まるという現実です。この事実を真摯に受け止め、英語教員は英語の基礎的な知識と能力を身に付ける必要があります。
また、平成30年度からは小学校高学年に英語が教科として導入されます。中学校の英語の教員のレベルを考えると、小学校における指導者の英語力も想像がつきます。英語が話せるようになる人材を育成しようと本気で考えるのなら、指導者の英語力と指導力の向上が必須です。この課題に正面から取り組んでいる京都府教育委員会の取組は、リーディングモデルとなることでしょう。そして、何よりも大切なのは、自己研鑽を続ける意識と態度だと思います。国際化がさらに進むであろう将来の社会を担う生徒たちのために努力を続ける教員にエールを送ります。
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「いじめ解消」に初の定義

国のいじめ防止対策協議会が1月23日に開かれ、現場での防止に向けた取り組みについて、教育活動の内容や成果を保護者や地域住民らがチェックする「学校評価」の項目に加えることなどを盛り込んだ基本方針の改定案が示されました。
改定案は、子供への個人面談やアンケートの実施回数など、各学校でいじめ防止に向けた取り組みの具体的な目標を設定し、その達成状況を学校評価の項目に位置付けると新たに規定しています。
一人一人の教職員がいじめ対応を抱え込まず、スクールカウンセラーなど専門家と協力して学校全体で取り組むことや、専任教員の配置、年に複数回の校内研修の実施も求めています。
「いじめの解消」の判断については、原則的に3カ月間を目安に加害行為がやみ、被害者本人や保護者との面談で心身の苦痛を感じていないと確認された状態と定義。その間、学校は被害者を守り、安全・安心を確保する責任があることも示しています。
なぜ、こうした条件を定めたのか。きっかけの1つは、去年青森県で中学2年生の女子生徒がいじめを訴えて自殺した出来事です。学校側は自殺の2か月前、女子生徒からの相談を受け、加害生徒らに注意しました。その時点で「いじめは解消した」と判断したが、実際はいじめが続いていて自殺に至りました。学校などが安易に「いじめは解消した」と判断しないように、この条件を定めたのです。
3か月という期間は、あくまで目安としていますが「3か月経過したら対応しなくて良いと誤解されかねない」といった意見もあり、まだ協議を続けるといわれています。いじめは形を変えて続いたり、表面上は分からなかったりするので慎重に対応しなくてはいけません。文部科学省の調査によれば、昨年度に確認された約22万件のいじめのうち、88.6%は「解消した」と学校側は判断しています。でも、こうしたケースでも必要に応じて見極めが必要だと文科省は指摘しているのです。
今回の改定案ではもう1つ、何をいじめと判断するかという範囲も広げました。これまではいじめについて「叩かれたり蹴られたりする」「金品をたかられる」「仲間はずれ、集団による無視」などを挙げ、「ケンカは含まない」としていたが、ケンカやふざけあいでもいじめの有無を調べるとしています。
ケンカにみえても「実際はいじめ」という場合もあります。いじめは、気づかないと対応できないため、見つける事が大切です。その意味で今回の改定は一歩前進だとはいえますが、学校に限らず周りの大人も気にかけることも必要です。そのためにも、家庭でもできることとして文科省は教育委員会を通じて「いじめのサイン発見シート」を各学校などに配布しています。
子どもの行動に関するチェック項目が並んでいるので、以下に一部を抜粋して紹介します。こうした項目にあてはまるものがある場合は注意して見守る必要があるということです。
□携帯電話やメールの着信音におびえる
□学校の持ち物がなくなったり壊れたりしている
□表情が暗く、家族との会話が減った
□理由をいわないアザや傷がある
今回のポイントは「もしかしてと思ったら…」。今のいじめ発見シートでは、子どもがいじめられていると少しでも感じた保護者や周りの大人は、以下を心がけてほしいとしています。
●問い詰めたり結論を急いだりしない
●「そんなのたいしたことではない」などと言わない
●「いじめられている人は悪くない」ということを伝える
「もしかして…」と思ったら、いじめの「芽」や「兆候」も見逃さずに、子供を見守る周りの人たちが早めに対処をする必要があります。そのような意識と態度を醸成することが私たちにできる第一歩です。
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教員の労働時間を考える

1月27日に連合総研が開催したシンポジウムでは、全国の公立小中学校4500人 を対象にしたアンケート調査を公表しました。
それによると、1週間の労働時間が60時間以上だった教員は、小学校で7割超、中学校で9割 という数字でした。また、家族との夕食が週に1~2回以下という教員は5割以上にのぼります。これは、民間企業の2割と比較してみても、圧倒的に多い数字です。
日本の教員の勤務時間の長さは、海外と比較するとより目立つ。OECDの調査によれば、各国の1週間の勤務時間が平均が38.3時間であるのに対し、日本の中学教員は53.9時間に達しています(OECD国際教員指導環境調査(TALIS)調査・2013年)。また、1週間あたりの部活の指導時間も、各国の平均は2.1時間 だが、日本では7.7時間にのぼっています。
今月、松野博一文部科学大臣は「土日に休養日を設定していない学校が4割以上との結果を受け止め、休養日の適切な設定を求める通知を発出する」とし、休養日を適切に設けるよう通知しました。
教員の働き方で問題視されている部活動ですが、手当額を増額することや休養日を設けるといった小手先の対応ではなく、学習指導要領における部活動の位置付けを見直して、学校教育から切り離すといった抜本的な改革をする時期だと考えています。部活動を通した生徒指導という側面もありますが、教員の労働時間の長期化を優先して考えなければ、いわゆる「ブラック部活」問題は解決しないでしょう。
また、小学校は部活動がないにも関わらず勤務時間が長いのは、時代の要請によるキャリア教育や英語教育、プログラミング教育など、新しい指導内容を身に付けなければならないことが一つの要因だと考えています。さらに、アクティブラーニングといった指導方法を習得するには、自己研鑽の時間を確保しなければなりません。その他にも教育委員会に提出する報告書の作成など、子供達に直接還元されることない仕事も増えています。
教員が目の前にいる子供たちときちんと向き合うためには、物理的な時間の確保と共に精神的なゆとりも必要です。教員の時間を確保できる施策を文部科学省は本気で考えて欲しいと思います。
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経済的困窮と学習意欲について

子供の貧困対策を検討している大阪府がアンケート結果を1月18日にとりまとめ、経済的に困窮している家庭ほど子供の学習意欲が低いことが分かりました。
大阪府は、府内30市町村の小学5年生と中学2年生、その保護者の8000世帯を対象にしたアンケート結果をもとに、経済環境と学習状況の関係などを調査しました。
その結果、経済的に最も困窮している区分の家庭では、学校の授業以外の勉強時間が30分未満という割合が3割を超え、子供の学習意欲が低いことが分かりました。
また経済的に困窮している家庭ほど、子供の帰宅時に保護者が家にいないことが多く、大阪府は「経済的困窮が子供のやる気や学習態度に影響している」と分析しています。
特に困窮度が高いのは母子家庭で、年収200万円未満の割合が35%にのぼるということです。
経済的困窮が学習意欲を低下させていると大阪府は分析していますが、経済的困窮により保護者が子供に関わる時間がなく学習意欲を低下させていると私は考えています。その論拠となるDweckの実験を紹介します。
内容:学習に対して無気力な子どもを2つのグループに分け、25日間の訓練を行う。
・成功経験群:易しい問題を多く与えて自信をつけさせる。
・努力帰属群:易しい問題と難しい問題を与え、難しい問題が出来なかったときに、努力が足りなかったことを繰り返し話した。
 結果
・成功経験群:再度失敗すると自分の能力に帰属し、またやる気をなくしてしまう。
・努力帰属群:根気よく学習を続け、より良い成績を修めた。
 実験結果から、内発的動機付けの維持には、単に成功体験を積ませるだけではだめで、成功・失敗の原因を、自分の中にある「能力」「努力」、その中でも変化の程度が大きい「努力」に帰属させることが必要だということが分かります。Dweckの実験では失敗の後に指導をすることによって学習意欲の保持に成功しています。重要なのはタイミングです。子どもの変化に応じて指導を加えることで、子どもの中に学習意欲を維持させることが出来ます。なにより、人は常に自分の変化情報を求めており、それを提供してくれる人は大切な人となり得るのです。子供の小さなな変化に気付く保護者や教員によって学習意欲を高めることができるのです。
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文部科学省が業務改善強化を表明

松野博一文部科学大臣は1月6日、学校現場における業務の適正化について、平成29年の年頭にあたるメッセージを発信しました。平成28年6月に行った学校現場おける業務の適正化に向けた報告を受け、平成29年は改善方策を確実に遂行するべく、大きく分けて3つの施策に取り組む決意を表明しました。
1つめは、教員の業務環境の改善。平成29年度予算案で計上した学校現場における業務改善加速プロジェクトを推進するため、今後は時間外勤務の削減や創出した時間による教育面での効果を蓄積するなど、20か所程度指定した「業務改善重点モデル地域」を中心とした調査や情報発信を行います。
2つめは、部活動指導に関わる教員の負担軽減。文部科学省は今後、適切な練習時間や休養日を設けることを定めた総合的なガイドラインを策定する予定。なお、1月6日には部活動休養日の設定について各都道府県教育委員会などに向け休養日の適切な設定を呼びかけるよう通知した。また、平成29年度予算案内において部活動指導手当の支給額の引き上げを反映していることも改めて周知しました。
3つめは、学校現場における業務の適正化をさらに実効性あるものとするべく、体制強化に取り組む。実働組織としてプロジェクトチームを設置するほか、有識者や教育委員会関係者などを「業務改善アドバイザー」として要請に応じ各教育委員会に派遣できる仕組みを整備するとのことです。
松村大臣の言葉からも文部科学省は、教育現場が業務の多様化により教員の負担が大きいことを十分認識しています。それでは、教員の負担感の要因はどこにあるのでしょうか。部活の顧問や保護者からの要望に目を奪われてしまいますが、教育委員会が実施する都道府県や市町村の単独事業による負担感が増えていることを見落としてはいけません。これらの単独事業は、各行政区の課題解決のために予算化され実施されていますが、これらの事業を実施するためには、申請書をはじめ作成する書類が膨大なのです。その理由としては、税金によって事業を実施するわけですから費用対効果や説明責任が求められているからです。このポイントは外せませんので、教育委員会が事業計画や事業評価も含めて学校を支援すれば、学校現場の教員の負担は大きく軽減されると思います。全国の教育委員会も松村大臣の思いを受け止め、教員の負担軽減に向けた取り組みを進めて欲しいと思います。
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箱根駅伝3連覇の青学原監督から人材育成を学ぶ

箱根駅伝3連覇と、過去に3校しか成し遂げていない大学駅伝3冠(出雲駅伝、全日本駅伝、箱根駅伝)を達成したのが青山学院大学陸上競技部です。
近年でこそ、大学駅伝での強さが目立つ青学ですが、かつては箱根駅伝の予選会でさえ通過できませんでした。その弱小チームを「常勝軍団」に変えたのが、中国電力のビジネスマンから青学陸上競技部の監督へと転じた原晋氏です。著書『フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』にも記されている、人材育成の秘密を明かします。
私の理想は、監督が指示を出さなくても部員それぞれがやるべきことを考えて、実行できるチームです。つまり、指示待ち集団ではなく、考える集団。言葉にするのは簡単ですが、考える集団をつくるには、土壌づくりと同様に時間が必要です。
私が最初に取り組んだのは、「相談できる人」に育てることです。相談するとはどういうことかを部員に教えることから始めました。
たとえば、選手が「足が痛いです」と私に言ってきたとします。それは相談ではなく報告です。だから私は、選手にこう問いかけます。「それで?」、続けて、「どこがいつから痛いの?」「治るまで1週間? 10日? 1カ月?」と質問を広げていきます。
さらに、「治るまで1カ月かかるなら、いつまでに治すように努力するの?」「それまでにできるトレーニングはA・B・Cがあるけど、どの方法でやってみたい?」と具体的にしていきます。
そして、「今回はトレーニングAにしたいと考えていますが、監督はどう思いますか?」と自分で答えを出すところまで求めます。そのとき、それが本当の相談であると部員に話してあげるようにしています。
部員からの提案を嫌がる監督もいますが、それだと、監督の指示を仰ぐ部員やスタッフばかりになってしまいます。
たとえば、陸上競技部のマネジャーが夏合宿の練習時間について、「今日のスタートは何時にしますか?」と聞きに来たとします。指示を出したい監督であれば、「○時からこのグラウンドで、こういうトレーニングをする」と伝えて終わりでしょう。
でも、それではマネジャーは御用聞きになってしまい、何も得るものはありません。天候、気温、風、グラウンドコンディション、練習場の選定など練習時間を決めるさまざまな要素から、マネジャー自身が答えを出して、「今日は日中の気温が30度を超えるので、練習時間は遅めの午後4時半からにしませんか?」と相談に来る。
これが、今の青学陸上競技部です。その提案に私が納得できれば、「それでいいんじゃない」と答えます。
自分の提案が通ると、それはマネジャーにとってひとつの成功体験になります。
自分の考えが反映されたとなれば、次はさらに詳しく状況を調べて、よりよい練習環境を整えようとします。
このレベルに部員が育つまでには、やはり時間が必要です。初期の段階は教えることがたくさんありました。考える習慣がない部員に「さあ、考えなさい」と言っても無理。だから、監督に就任した頃は、私が話すことが多かったと思います。ただ、考えるための材料は与えても、できるだけ答えは出しませんでした。そうすると、なんとか自分で答えを導き出すしかありませんから。
私は、彼らが答えを出すまでとことん待ちました。チームが考える集団になれるかどうかは、監督の忍耐強さにかかっています。新しい習慣を身に付けるのですから、時間はかかって当然です。青学陸上競技部の部員に考える習慣が十分浸透してきたなと感じ始めたのは、監督になって7、8年目のことでした。
どうですか?学校の教育現場でも目指すべき子供たちの姿である「考える集団」をつくるヒントが随所にありましたね。学校現場では知識の伝達も必要ですが、これからは知識の活用が求められています。知識を活用できる「考える集団」をつくることを目指し、今年は長期ビジョンを立ててじっくりと目の前の子供たちに向き合ってください。
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次期学習指導要領から考えること

文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」は21日、小中高校の2020年度以降の教育内容を決める次期学習指導要領の基本方針を松野文科相に答申しました。正式な教科になる小学校の英語について、18年度から先行実施できるように準備すべきだと提言。国際学力調査で日本の子どもの「読解力」を示す順位が下がったことから、読解力向上を「喫緊の課題」と位置付け、国語を中心に語彙を増やす指導や読書活動を充実させるよう求めました。
また、18歳選挙権に伴う主権者教育や社会科の授業では、統計資料や新聞を一層活用し、図書館や博物館とも連携するよう提言しています。
さらに、次期指導要領では、次の6項目について明確な方針を打ち出します。
i)「何ができるようになるか」(育成を目指す資質・能力) 
ii)「何を学ぶか」(教科等を学ぶ意義と、教科等間・学校段階間のつながりを踏まえた教育課程の編成) 
iii)「どのように学ぶか」(各教科等の指導計画の作成と実施、学習・指導の改善・充実) 
iii)「子供一人一人の発達をどのように支援するか」(子供の発達を踏まえた指導) 
v)「何が身に付いたか」(学習評価の充実) 
vi)「実施するために何が必要か」(学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策) 
次代を担う人材には、主体的に課題を発見し人を巻き込みながら解決する力が求められています。つまり、PDCAサイクルを回し続ける力が求められているといっても過言ではありません。言い換えると、これからの教員自らがPDCAサイクルを回して、授業改善をはじめ教育課題に積極的に関わろうとする力が求められているのです。次期学習指導要領は、教員に対する要求水準が高く設定されていると感じますが、限りある時間の中で優先順位を付けて対応することで、質の高い教育を実践してほしいと期待しています。
今後、文科省は答申を受けて現行の指導要領を改定します。告示は小中学校が今年度、高校が来年度で、実施は小学校が20年度、中学校が21年度、高校が22年度になります。年末年始の慌ただしい時期ではありますが、まとまった時間が取れる時期でもありますので、どの分野について自己研鑽を進めるかじっくりと考えてください。
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新潟いじめ事案から考えること

福島県から新潟市に自主避難した同市立小学校4年生の男子児童が、同級生や40代男性の担任教諭から名前に「菌」をつけて呼ばれるなどのいじめを受けていた事案が発覚しました。これについて松野博一文科相は12月9日の閣議後会見で、担任の対応に「極めて問題である」と批判するとともに「不適切な言動を防ぐ取り組みをしてもらいたい」と、各教委に向けて再発防止を促しました。
会見で松野文科相は、横浜市で起きた原発いじめを受けて、被災児童生徒には特段の配慮をするよう通知を発出した後にこの事案が発覚した点に関して、「適切な対応を行わなかったのは、極めて問題である」と発言し、続けて「生徒児童間のいじめを止めるべき立場にある教員が、いじめを助長する事態は、あってはならない」と述べました。
また、「教員がいじめを助長した場合は、停職や減給といった懲戒処分の標準事例を定めている教委もある」とし、各教委にこの事例を参考に、再発防止に乗り出してほしいと呼び掛けました。
教員にとって、罰則があるから不適切な発言をやめようという外的要因が強化されることほど屈辱的なものはありません。本来、崇高な教育理念に基づき、子供達の人格形成のために粉骨砕身働き尊敬される人格者であるべき教員に、このような懲戒処分の規定が加わることは、それほど教員の質が低下している現れでもあります。では、質の低下をどう補えばいいのでしょうか。やはり、校内研修やいじめに対する計画的な指導を通して、子供だけでなく教員も人権感覚を高めることが大切です。教育委員会は懲罰規定を見直すだけでなく、教員の質的向上を図るための研修支援も合わせて実施することを期待しています。
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理数系の国際学力調査結果は過去最高

57の国と地域が参加した2015年の国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)で、日本の小学4年と中学2年の平均点がいずれも過去最高になりました。一方、数学や理科が「楽しい」「得意だ」と答える中2の割合は国際平均を下回り、従来通り学びへの関心や意欲をどう育てるかに課題が残りました。
国際教育到達度評価学会が11月29日に公表しました調査結果によると、小4の平均点は、算数が前回より8点高い593点、理科は10点高い569点で、いずれも2回続けて上がりました。中2の平均点は、数学が16点高い586点、理科は13点高い571点で横ばいから上昇しました。順位をみると、中2の理科は前回の4位から過去最高の2位に、小4の理科は4位から3位に上がり、小4の算数と中2の数学は前回と同じ5位。いずれの学年も1位はシンガポールで、各教科の5位以上には韓国や台湾、ロシアなどが入りました。
各教科が楽しいかや、得意かを尋ねた意識調査では、「理科は楽しい」が小4で90%に上り、国際平均の87%とほぼ同じでした。しかし、中2では「理科は得意だ」は45%にとどまり、国際平均の53%と比べても低い結果でした。「数学は得意だ」と答える中2も39%で、国際平均の48%を下回りました。
今回の結果を出したのは、日々、児童生徒の指導に取り組んでいる教員の成果です。その教員の皆さんの努力に敬意を評します。一方、課題として以前からもあった教科に対する関心や意欲が低いことに対しては、手を打たなければならないと思います。つまり、生徒の学習意欲を喚起するたの方法を考えることを真剣に考えなければならないということです。子供の実態は、毎年、クラス毎にも違いがあります。特に中学校は複数クラスを担当している場合、同一の指導内容となりますが、クラスの実態が異なるので、微妙に惹きつける内容を変える必要があります。さらに、一人一人の学習意欲を喚起するためには、さらにきめ細やかな指導が必要となります。子供たちのニーズに即した学習指導という当たり前のことを着実に取り組むことが、現状の改善に繋がると思います。生徒の心に火をつければ、自然に学習に取り組むようになるのですから。
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横浜市のいじめはどうすれば防げたか

学校の対応に厳しい批判が集まっています。福島第一原発事故によって自主避難していた生徒が転入先の小学校でいじめを受けていた問題。小学5年生のころ、この生徒は同級生が遊ぶ金として合わせて150万円も支払っていましたが、両親から相談を受けた学校は「警察に行って被害届を出すでもしないと動かない」などと対応していたことがわかりました。
「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた」(男子生徒の手記)
福島第一原発の事故を受け、福島県から横浜市に自主避難してきた男子生徒が、転校先の小学校でいじめを受け、不登校になった問題。小学2年生で転校してきて以来、いじめを受けていた男子生徒は、小学5年生のころには、横浜駅周辺やみなとみらいの遊園地などのゲームセンターで同級生が遊ぶ費用を全て支払うようになっていました。
「賠償金もらっているだろ?」
「次のお金もよろしくな」(横浜市いじめ問題専門委員会 調査報告書より)
要求は1回当たりおよそ10万円にもなり、同級生に渡した金は総額で150万円にもなっていました。その後の関係者への取材で、家の金がなくなっていたことに気づいた両親が学校に相談したところ、学校は「警察に行って被害届を出すでもしないと動かない」などと対応していたことがわかりました。また、学校内の調査では「男子生徒が自ら同級生に金を渡した可能性がある」などと結論づけられていました。
「子供はいじめから逃れたい一心でお金を出していたようです。子供としては精一杯の防衛行為だったと思います」(両親の声明 今月15日)
学校の対応について、第三者委員会は「積極的に教育的支援を行わなかったことは教育の放棄に等しい」と厳しく指摘しています。
それでは、どの段階で防ぐことができたのでしょうか。やはり、両親が学校に相談した時に、適切な対応をとっていれば不登校になることはなかったでしょう。では、どのような対応をすればよかったのでしょうか。加害者は複数いるので、生徒指導も組織的に対応する必要があります。小学校の場合、学級担任制のため組織的に対応する発想がそもそもない場合があります。学級担任だけでなく、生徒指導主任や他の教員、そして管理職が同時に聞き取りをして、事実確認をするのです。そして、聞き取りをした教員が集まり、言動や経過などに齟齬がないか確認します。一見、警察の取りし調べのようですが、初期対応でどれだけ事実確認できるかが勝負なのです。事実を認めれば、保護者を学校に呼んで個別指導の後、全体指導をします。確実に保護者に事実を認識してもらうとともに、引き続き気をつけて子供の様子をみてもらう必要があるからです。このような初期対応を丁寧にすることで、いじめによる被害を最小限に食い止めることができるのです。
もちろん、両親が相談に来る前に、子供達の言動からいじめを察知できるように教員が感度を上げることができることが理想です。学校にいる教職員のいじめに対する意識が同時に高まることで、確実に子供達に影響を与えます。子供は大人の鏡ですから。
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掛川市の学力向上物語

先に公表された文部科学省の2016年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)結果で、静岡県掛川市の取り組みの成果が明確となりました。13年度調査で全国最低レベルの教科もあった当時の小学6年生が、今回は中学3年生として調査に臨み、見事に全教科で全国平均を上回り、リベンジを遂げたのです。
13年度の結果に市は危機感を持ち、独自の取り組みを始めました。それまでも結果の分析は行っていましたが、さらに一歩進め「学力」とは何かについて学校や家庭、地域の共通理解を促すと同時に、学力向上のための理念や方法をまとめる狙いで「かけがわ学力向上ものがたり」を策定しました。授業に関しては、児童生徒自らが課題について調べ、考え、話し合う「追究」の時間や、知識の定着を図るためのまとめの時間を十分に取るよう提言。事実を正確に理解し伝達するなどの「言語活動の充実」や読書の推進も盛り込みました。
14年度からは、市内の小中学校31校すべてが、それぞれの授業改善への取り組み方針・計画などを示した「我が校のものがたり」を作成。「やってみてどうだったか」を検証するため、その結果や効果を「我が校のものがたり実践編」として取りまとめました。学校別の取り組みでは、生徒をグループ分けしての学び合いや、日々の読書時間の確保、児童生徒が積極的に発言するための工夫などが見られます。
ポイントは、各学校の教員集団が共通課題を認識し、具体的な取り組みを足並みを揃えて実践し、効果検証をしたことに尽きます。この当たり前のように思えることですが、言うは易し行うは難し。しかし、現場の教員の危機感が実践のエネルギーになったのかも知れません。教員集団が同じ方向に進むことで、子供たちの学ぶ力は身に付くのです。そして、この取り組みは全国のどの学校でも実践可能です。
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いじめ認知件数の増加から考えること

2015年度に全国の小中高校などが認知したいじめが前年度比3万6468件増の22万4540件で、1985年度の調査開始以来最多となったことが27日、文部科学省の「問題行動調査」で分かりました。増加は2年連続で、20万件を超えたのは初めてで、同省は「解決に向けた積極的な認知を推進する政策が浸透してきた」とみています。内訳をみると小学校が3万件近く増え、15万件を突破して最多を更新。中学校は約6万件、高校は約1万2000件でした。
いじめの内容は、からかい・悪口・脅し文句などが認知件数全体の63.5%で最も多く、軽い暴力が22.6%となっています。パソコンや携帯電話などを使ったいじめも前年度比1251件増の9149件と最多でした。また、学校が報告した小中高生の自殺は同18人減の214人で、このうち、いじめの問題があったとされた児童生徒は4人増え9人でした。
一方、暴力行為の発生件数は、小学校が約1万7000件で前年度の1.5倍に急増。一方、中学は約3万3000件、高校は約6700件で、減少傾向が続いています。小学校で暴力が増えたことについて、文科省は「いじめと同様に把握が進んだ。学校現場からは、家庭の教育力低下や感情をコントロールできない子どもの増加を指摘する声もある」と説明しています。
学校現場からの声にもあるように、家庭の教育力低下が要因の一つとして考えられます。学校と家庭と連携し地域で子供を育てることが理想ですが、その重要な役割を果たす家庭の部分が機能しないとなると学校が家庭教育の役割も担うことになります。これが、教員の多忙感の原因の一つだと考えます。本来、家庭で教えるようなことまで教員が学校で教えるわけですから。しかし、学校だけがその役割を担うのでいいのでしょうか。いじめの要因であると考えられる、他者への不寛容や妬みなどは、子供を取り巻く社会の影響も大きいと考えられます。それは、社会的学習理論を提唱したバンデューラの実験から実証できます。バンデューラの行った実験は、子供たちを「実験群」と「対照群」の2つのグループに分けます。「実験群」には部屋で1人の大人が、風船のように膨らませた「人形」に乱暴しているのを見せて、「対照群」には普通に大人が遊んでいるのを見せます。その後各グループの子供たち1人ずつをおもちゃの部屋に入れ、行動をフィルムで撮影します。結果、「実験群」の子供たちは「対照群」の子供たちに比べて目に見えて攻撃的だったのです。この実験から、子供は明らかな強化を与えなくてもモデルの行動を自発的に模倣することを実証したのです。つまり、テレビや大人の影響を受けて子供は育つということです。家庭の教育力が低下した今、その役割を学校現場だけに押し付けるのではなく、社会全体で課題を引き取り子供を育てる意識を持ちモデルとなるような行動をとることが大切です。
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給付型奨学金を考える

10月21日の朝日新聞によると、自民党は、返済する必要がない給付型奨学金について、原則として高校時の成績が5段階評定で平均4以上であることを条件に、月3万円を給付する方向で文部科学省と調整を始めたそうです。対象者は7万5千人程度になると見込んでおり、年300億円近くが必要になるとみています。具体的な制度案について、来週にも取りまとめる予定です。
給付型奨学金については、文科省が住民税の非課税世帯などの大学生らを対象に、一定の成績基準を設けることを検討しています。2018年度の入学生から導入する考えですが、自民党は前倒しして17年度からを主張している状況です。
日本で奨学金というと、返済の必要がある「貸与型」がメインですが、返済の必要がない「給付型」の国も多いのが現状です。そこで、世界各国の奨学金制度を見てみると、そもそもも大学の授業料自体が無料の国があります。たとえばスウェーデンでは、学費がかからないうえに、学生の居住費や、低収入の家庭の学生の生活資金が、「給付型奨学金」というかたちで援助されています。授業料が高額なカナダ、アメリカなどは公費支出も多いのですが、給付型奨学金が制度化されています。日本の「貸与型奨学金」には利息が発生するものも多いため、今回の給付型奨学金制度により国際標準に少し近づくことになります。現在、議論されている制度では、高校のレベルが高い場合、優秀な学生であっても評定が低いため奨学金を受けられないことが想定されます。生活が苦しくても学業を志す優秀な学生に対して適切な奨学金が与えられるような制度設計を期待しています。
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奈良の修学旅行にピッタリ

奈良市の学校で取り組んでいる世界遺産学習を奈良市の学校で取り組んでいる世界遺産学習を広く多くの学校でそのノウハウを活用してもらおうと、「もっと奈良っちゃう」WEB版とアプリを奈良市教育委員会が作成しました。奈良市では平成10年に「古都奈良の文化財」が世界遺産に登録されたことから、全ての市立小中学校で世界遺産学習に取り組んでいます。世界遺産学習とは、世界遺産についての知識を学ぶだけではありません。世界遺産を受け継いできた古の人々の思いや願いを通して、現代に生きる私たちにできることを考えます。そして、1300年も守られてきた古都奈良の文化財を次代に受け継ぐための態度を育みます。

その世界遺産学習のノウハウがWEB版のティーチャーズガイドに掲載してあります。修学旅行で奈良を訪れる学校の先生方にはぜひ一読してほしいと思います。「奈良公園は鹿のフンで埋まってしまわないのはなぜか?」という疑問から、奈良公園における自然環境や生態系について学ぶことができます。また、「未来に残したい奈良の風景を見つけよう」は、奈良の美しい風景を残す方法を考えるだけでなく、自分の住む地域で残したい風景もかんがえることで、地域に生きる一人の住民としての役割を考えるきっかけとなります。

このような指導方法ばかりでなく、児童生徒が事前学習で活用できる世界遺産に関する資料や観光ガイドも掲載しています。また、事後学習のまとめ方についても具体的な方法が提示してありますので、修学旅行の準備の時から、行ってきた後の学習のまとめまで通して活用できますので一度ご覧ください。

なお、アプリ版では、「空から眺める平城京」を選択してジャンプすると1300年前の平城京をヴァーチャルリアリティで眺めることができます。これは一見の価値あり。オススメです。



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いじめ防止対策推進法に魂を入れよ

「いじめ防止対策推進法」が施行されて3年が経ちました。しかし、いじめられて命を絶つ子どもが後を絶たないのは周知の事実です。この法によりいじめを防止する効果があったとは残念ながら言えない状況です。法は施行後3年で見直しを検討する規定があるため、文部科学省の有識者会議が議論しているところです。いじめられている子どもたちが生きる希望を持てる生活を保証できるような対策を考えて欲しいと思います。

それでは、なぜ法に防止効果がないのでしょうか。法の特徴は、学校や自治体に対し防止や対策のための「組織」をつくるように求めている点にあります。例えば学校がすべきこととして、「いじめ防止基本方針」を掲げ、対策組織を設けるよう義務づけました。学校全体で方針を立て、情報を共有して取り組むのがねらいです。ところが、それらが機能していない現実が明らかになりました。防止法の施行後、自殺を受けて教育委員会などが設けた第三者委員会による報告12件のうち、少なくとも9件が、学校での情報共有が不十分と認めています。課題を抱える組織において、プロジェクト組織を個別に立ち上げて対策を講じたから大丈夫だと安心する経営者もいるようですが、この組織が存続できる期間は短いでしょう。それは、組織は問題を解決することができないからです。問題を解決できるのは、現場に立つ人、つまり教員なのです。その教員の意識を変え必要な知識を習得する不断の努力を学校組織が取り組まなければなりません。一言で言うと、組織に魂を入れることです。

教員の資質の1つに危機管理能力がありますが、この能力が低いといじめを察知することは困難になります。組織的に対応することで個人の能力をカバーできますが、校長の能力と意識によって左右されることもあります。では、どのように能力を高めることができるのでしょうか。その一つの解は、いじめ防止プログラムを実施することです。学校の実態に応じて各学年毎に共通のプログラムを計画し、学期毎に複数回実施します。児童生徒のいじめに対する倫理的素養を育み、教師のいじめに対する見識を高めることを狙いとします。いじめは悪い、無くさなければいけないと考えるなら指導も合わせて行うべきです。

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学力調査結果と生活保護率

文部科学省は29日、今年4月に実施した「全国学力・学習状況調査」の結果を発表しました。前年度同様、小中学校とも下位県の成績が全国平均に近づく底上げ傾向が続き、上位県と下位県の差が縮小しました。

公立の都道府県別の平均正答率は上位常連の石川が小学校国語Aと算数A、Bの3種で1位。中学は秋田が国語A、Bで、福井が数学A、Bでトップとなりました。都道府県ごとの結果について、各年度の全国平均を「100」として下位3県の平均と全国平均を比べたところ、小6の3種、中3の2種で前年度より差が縮小し、底上げ傾向がみられた。また上位3県と下位3県の差を学テ開始時の2007年度と比較すると、小6の算数Aが5.1ポイントから3.3ポイントに縮小するなど8種中7種で差が縮まりました。

ここで熊本県を除く都道府県の平均正答率と平成25年度の生活保護率を1つのグラフにまとめてみました。正答率の幅は非常に狭い幅になっていることが一目瞭然です。自分の住んでいる自治体は、全国平均より上か下かという観点で見ることもできますが、その意味をよく考えて分析する必要があります。自治体の首長が本調査の順位に一喜一憂している話を未だに聞きますが、正答率のわずが数パーセントの違いで順位が変わることを理解してほしいものです。それ以上に、このグラフを見て生活保護率が高い自治体の方が正答率が低い傾向が見られることに首長は気づいて欲しいものです。経済格差が広がる中で、学力の格差が縮まるということは、教員の並々ならぬ努力の賜物です。行政の長としての役割は、経済格差を縮めるための施策を地方振興と共に推進することを期待してます。

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プログラミング教育を考える

政府が“スーパープログラマー”の育成に乗り出します。小学校で必修化の方針が固まり、中学・高校でも授業を拡充する方向になったプログラミング教育で「顕著な才能を示す児童・生徒」の能力を伸ばすための指導法について総務省が課外指導向けの手引書にまとめる予定です。プログラミング教育の本格実施の際には、教室や講座の開設が集中する都市部と、地方との地域間格差が問題になることから、官民で解消への取り組みも始まりました。ビッグデータや人工知能(AI)などの新技術をめぐる世界的な競争を視野に、日本のIT人材育成強化につなげたい考えだと思います。
ここで、この政策の主管庁が総務省だということに焦点を当てます。教育内容に関わることなのに何故、総務省が先導するのでしょうか。プログラミング教育は、確かに時代の要請として必要なのかもしれませんし、適切な指導をすることで理論的な思考力を高めることが期待できます。しかし、全ての学校でプログラミング教育を理論的な本質を含めて子供たちに指導できる指導者は残念ながらいません。教育内容と指導方法について、教育の素人集団である総務省が先導することにより、学校現場における負担感の増大という大きな課題がありますが、一体、どうやって解消するのでしょうか。さらに、プログラミング教育の目的は何なのでしょうか。スーパープログラマーを育成するためならプログラマー養成所を設立するほうが現実的です。総務省が本当に何をしたいのか、その目的は分かりません。
先の不透明な時代である現代では、学校教育で身に付けるべき力とは基礎的・汎用的な能力です。プログラミング教育の本質である論理的思考は算数や数学をはじめ、理科や国語などの教科指導を通して十分身に付けられます。今、何が足りないかというと、それぞれの教科指導の先にスーパープログラマーを育成するという具体像を指導者が描けていないことなのです。そういう意味でも、キャリア教育の本質を指導者が理解することで、プログラミング教育は不要だと自信を持って否定する力を身につけてほしいと思います。ロボットを動かすプログラミングに時間をかけても、プログラミング本質である論理的思考が分からなければ遊びの時間にしかなりませんから。
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2013年のOECD調査結果

経済協力開発機構(OECD)は9月15日、2013年の加盟各国の国内総生産(GDP)に占める学校など教育機関への公的支出の割合を公表しました。日本は3.2%(前年3.5%)で比較可能な38カ国中、ロシアと並び最下位のハンガリーに次ぐ結果でした。OECD平均は4.5%(前年4.7%)で、日本は6年連続の最下位は免れましたが、日本の公的支出が依然低い実態が浮き彫りとなりました。参考に、1位はコスタリカの6.4%、2位以下はノルウェーの6.2%、デンマークの6.1%、フィンランドの5.7%が続いています。
一方、GDPに占める私学の支出の割合は1.2%で、38カ国中10位となり、OECD平均の0.7%を上回る結果となりました。
公費と私費を合わせた教育費でみると、日本は38カ国中30位となり私費による教育費によって順位を上げていることが分かります。
次世代を担う子供たちに対する教育に期待が大きいため、多くの要望が多方面から聞こえてきますが、この予算で応えることは不可能です。これからは、教育に対する要望をする際は、それに見合った予算措置を必ずしてください。この予算規模で国際テストの結果を出し続ける教職員の努力に対して改めて敬意を表します。
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教育費の無償化

給食費や副教材費など義務教育にかかる費用を自治体が負担する動きが広がっています。副教材費なども公費で賄い、「完全無償化」を掲げる自治体も出てきました。これは、少子化や過疎化、子どもの貧困問題を背景に、手厚い支援で子育て世代の流出を食い止め、新住民を呼び込む狙いがあるようです。現状では、全国で7つの自治体が「完全無償化」の施策を実施していますが、対象となる児童生徒数は100名以下のため事業費はおよそ600万円程度のようです。
今後、都市部の首長が政治公約として義務教育費の「完全無償化」を掲げ当選することも考えられます。もちろん、民意により当選すれば公約が実行されることになり、その自治体に住む子育て世帯は喜ぶことでしょう。また、近隣自治体に住む子育て世帯は、「完全無償化」の自治体に移住することも予想されます。つまり、財政的に「完全無償化」が実施できる自治体に子育て世帯が集中し、財政状況が厳しい自治体は人口減少が加速することが考えられます。
新自由主義による地方分権の考え方では自然な流れなのでしょうが、この考え方で教育施策を進めているアメリカの様子からは非常に厳しい現実が見えてきます。財政的に余裕がある州では十分な教員配置と学校施設の維持管理ができますが、財政状況が厳しい州では予算の選択と集中が行われるため、重点教育校でなければ教員数も最低限で学校施設の改修も優先度が最下位となり快適さは望めないのが現実なのです。
さて、話を日本に戻して一度立ち止まって考えたいのは、義務教育費の無償化の動きを国が実施する時期に来ているのではないかということです。このまま、首長判断により無償化が実施されると教育を受ける国民の間に不均衡が出てきます。この不均衡は決して看過できるものではありません。平等に教育を受ける権利をもっている国民にとって、経済的格差による不平等を無くす施策は必要不可欠だと考えています。今こそ国が責任をもって次世代を担う子供たちのために無償化を実施することを期待しています。
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大学奨学金の充実

文部科学省の平成29年度予算の概算要求がまとまりました。その中で注目する項目の1つに、意欲と能力のある学生等が、経済的理由により進学等を断念することがないよう、安心して学ぶことができる環境を整備し一億総活躍社会の実現を推進するため、給付型奨学金制度の創設があります。
高等教育への進学に係る費用については、所得の多寡にかかわらず相当の額が必要とされるため、低 所得世帯ほど所得に対する進学費用の割合が高く、その経済的負担が重くのしかかっています。こうしたな かで、意欲と能力があるにもかかわらず、経済的事情により進学を断念せざる得ない者が存在する状況となっています。給付型奨学金は、こうした進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しする制度として期待できるものです。その際、経済的に厳しい家庭の子供達が進学するに当たって、進学費用のために多額の奨学金貸与を受けるといった過度な負担を負うことがないようにすることが重要です。また、教育的な観点及び働く者の理解を得るとの観点から、進学に向けた学生等の努力を促す仕組みとすることが望まれます。
そこで、この奨学金を受給する場合は、一定の成績基準を設定することが今後、検討されるようです。また、現在の奨学金の予約採用の成績基準は高校1・2年次の評定平均値を用いていますが、例えば様々な困難な状況を抱えて高校生活前半で一時的に成績が低下し成績基準を満たさなかったとしても、高校生活後半から進学にチャレンジし学力を向上させるなど優れた成果を収めた生徒については、透明性を確保 した上で、学校推薦等の方法により対象とすることも検討課題となっています。
いずれにしても、経済的事情により進学を断念することのない制度として運用さることを期待しています。
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持続可能な開発のための教育を考える

みなさんは、ESDという言葉を聞いたことがありますか。ESDは、Education for Sustainable Developmentの略で「持続可能な開発のための教育」と訳されています。
現在、世界には、環境・貧困・人権・平和・開発といった様々な地球規模の課題があります。
ESDとは、地球に存在する人間を含めた命ある生物が、遠い未来までその営みを続けていくために、これらの課題を自らの問題として捉え、一人ひとりが自分にできることを考え、実践していくこと(think globally, act locally)を身につけ、課題解決につながる価値観や行動を生み出し、持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動です。
つまり、ESDは持続可能な社会づくりの担い手を育む教育です。この教育理念は、現行の学習指導要領にも随所に見られ、検定教科書にもESDを題材とするものが掲載されています。新しい教育理念が気づかない間に導入されているという見方もできますが、言い換えると教科書に掲載してあるESDの本質に気づかないで教えてしまっている可能性があるということです。ESDは、これからの時代を生きる子どもたちにはなくてはならない資質や態度だと考えています。また、ESDは教育理念なので、あらゆる教育活動の中で育むことが可能です。また、各種の教育活動をESDで結びつけることによって、より効果的な指導が可能となります。ぜひ、ESDに対する理解を深めて質の高い教育実践を進めてください。
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制服購入にかかる負担を考える

朝日新聞がソーシャル・ネットワーキング・サービスなどを通じて入手した、公立中学校111校の制服の購入価格を調べたところ、3万円台から7万円台まで、同じ公立中でも最大2倍を超す価格差があることが分かったそうです。メーカーや販売店が限られ、地域内で価格競争が起きにくいことが背景にあるようです。
公立中学校では、制服代の他に教材費として毎月、数千円の負担と修学旅行の積み立てなどの費用が必要です。この費用について、月々、数千円だから問題ないという判断はとても危険です。特に教員は毎月の生活費がギリギリで給料日前の生活に困窮したことの経験がありません。経済的弱者にとって、この数千円の負担感はとても大きいという感覚を持つことが大切です。
掲載記事の中で、さいたま市の女性は、「困窮している母子家庭ですが、中学入学を見据え、10万円を目標に3年かけてためました。実際の購入費用は7万9千円、残りはPTA会費、学級費、教材費でなくなりました。」と回答していました。生活に困窮している家庭には、就学援助制度が適用されるのですが、この記事を読む限りこの制度を使っていないように推測されます。準用保護家庭に対する援助額は市町村が決められるので、制服代のかかる学校の設置者である市町村は就学援助制度で確実に支援することが求められます。しかし、役所は申請主義のため就学援助を知らない場合は、さいたま市の女性のように苦しい生活を強いられてしまいます。
以上のように義務教育期間における費用について、もう一度、学校関係者は見直すことと就学援助制度による確実な支援ができるよう充分な配慮が必要です。経済格差が教育格差にならないためにも、教育関係者に強く要望します。
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教員採用試験から見える課題

学校が夏休みの間、教員採用試験が各都道府県で行われています。この教員採用試験の競争倍率は、2000(平成12)年度の13.3倍をピークに、減少を続けています。13倍以上あった競争倍率が、15年間で、5倍程度にまで低下しました。これは、第2次ベビーブーム時に大量採用された50代の教員が、一斉に定年退職の時期を迎えたことで、新規採用者数が増加したにもかかわらず、採用試験受験者数が思うように伸びなかったためです。さらに大都市における小学校教員の倍率は2倍程度まで下がっているため、母集団が正規分布に従うなら偏差値50以上の人が合格することになります。参考までに倍率が10倍だと偏差値が62.8以上が合格となります。ここで問題として指摘したい点は、新規教員の大量採用と質的保障です。
今までベテラン教員が培ってきた指導技術を新規採用の教員に伝承させるために、学校や教育委員会はこのノウハウを伝える仕組みをつくる必要があります。若い先生が増えることで、学校に活気が生まれるというプラス面も大きいと思いますが、教育における不易の部分を若い世代に受け継ぐことが近々の課題です。
もう一つの教員の質的保障とは、学力だけでなく人間的にも優秀な人物を確保する必要があるということです。当たり前な話ですが、競争倍率が下がれば、倍率が高ければ不合格だった人も合格してしまいます。採用枠を埋めるために、質を落としてまで採用する必要があるのか、ここは都道府県教育委員会の適切な判断が求められるところです。
教育に対する要求は時代とともに高くなっています。そのニーズに応えられる人材を確保することも、教育の課題の一つだと言えるでしょう。
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次期指導要領で英語が正式教科に

小中高校の教育内容を定めた学習指導要領の改訂案が8月1日、固まりました。小学校5~6年生で外国語(英語)を正式教科にするほか、歌やゲームなどで英語に親しむ「外国語活動」の開始が3年生に早まります。高校の地理歴史科を再編し、小中高の全教科にアクティブ・ラーニング(能動的学習)を導入するなど、時代の変化に応じた新しい学びの姿を打ち出しました。以前から報道されていた内容ですが、確実に実施に向けての準備が整ったという意味では、教員側も準備を始めなければならないということです。特に小学校英語は授業も週2コマに増加し、指導内容も「読む・書く」が加わります。そして、英語の教科化などで小学校6年間の総授業時間は140時間増えるため、時間割を柔軟に組み立てる「カリキュラム・マネジメント」が各学校に求められます。英語指導に対する知識と技能の向上が必須ですので、体系的な校内研修の立案と実施、そして、個人レベルによる研鑽が必要です。この夏季休業中を有効に活用することで、いつ高学年の担任になっても自信をもって英語を指導できる力を身に付けて下さい。
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教員定数と教育政策

文部科学省は7月29日、今後10年程度の教職員定数の中期見通しを策定する方針を示しました。
小学校で英語や理科、体育などの専科担当指導員を充実させるほか、少人数教育の実現に必要な定数確保などを盛り込むようです。最終まとめでは、小学校高学年で理科や音楽などの専科指導を行う学校が増えていることや、小学校での英語の正式教科化を見据え、専門教員の体制を充実するよう求めています。また、児童生徒が討論や体験を通じて能動的に学ぶ「アクティブ・ラーニング」を少人数指導で実施するための定数を確保するとしています。今後、財務省との予算折衝が待っており、定数の確保が保証されるわけではありませんので手放しで喜ぶことはできませんが、現時点では期待できる内容だと思います。
さて、これからの政策で期待したいことは、小中一貫教育の拡充です。小学校高学年における教科担任制を拡充するのであれば、小中学校の教員交流も可能となります。児童生徒理解と教科指導の9年間の流れを把握することは、学ぶ立場の子供たちにとって大きなメリットになります。また、「アクティブ・ラーニング」などの指導法についても、小中学校における発達段階や指導内容に応じた研究を推進することが、次期指導要領でも求められるからです。子供たちにとって、最適な教員配置を考えるのは自治体の役割なので、10年先の教育を見据えた政策を今から立案して欲しいです。
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道徳の評価は記述式

小中学校の道徳が2018年度から順次教科に格上げされるのを受け、文部科学省は、児童生徒を評価する方法について、数値ではなく記述式で評価することを決めました。そこで、評価を記述式にすることによるメリットとデメリットを整理したいと思います。
メリットは、評価すなわち評定を教員が意識することで、日常の授業や学校生活における評価を意識することにつながります。日頃の評価の蓄積がなければ、記述式による評定をすることは不可能だからです。もちろん、今までも多くの教員は子供たちの日頃の言動を把握していたと思いますが、記録に残す作業により可視化されることは大きなメリットだと考えられます。さらに、日頃の評価を子供たちにフィードバックする機会が増えると、その刺激により心の成長を促すことが期待できます。
一方、デメリットは、日頃の評価を積み上げる作業が増えるので、必然的に仕事量が増えます。これを例えると、製造業で営業を担当していた者が新製品の品質管理を兼務するようなものです。さらに、品質基準を新たに構築するのです。おそらく、一般企業ではありえない業務分担が教育現場では当然のように行われているのです。
現場の教員の多くは、子供たちのために道徳の評価も真摯に取り組むと思いますが、オーバーワークであることは火を見るよりも明らかです。道徳の教科化に合わせて、教員の労働環境の改善も行う必要があります。
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「どうして勉強するの?」にどう答えますか

多くの先生方は、この質問を子供たちから一度はされたことがあるのではないでしょうか。その時に、明快に答えられたでしょうか。また、日頃の授業の中で、今の学びが児童生徒の将来の何につながるか、話をしていますか。「大人は仕事、子供は勉強をするのが当たり前」なんて、身も蓋もないことを言っていてはいけません。
近年の国際テストの結果を見ると、自分の将来に役立つから勉強するのと考える子供が他国と比べて低いことが言われ続けています。つまり、学習意欲が低いのですが、学力は高いのが日本の子供たちの特徴なのです。見方を変えると、学習意欲を高めれば、もっと容易に子供たちの学力は向上すると考えられます。
いかがでしょうか。「どうして勉強するの?」の質問に答えて、子供たちの心に火をつけられるよう、先生たちも自己研鑽に励んでください。
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評価と評定

7月上旬は1学期の定期考査の時期で先生方は大変忙しくされていると思います。この後、試験の結果や日頃の提出物の取組状況から、児童生徒の成績を「評価」する作業になるので、多忙を極めると思います。
さて、先ほど使った「評価」は、実は「評定」するという行為になります。教育現場では、「評価」の中に「評定」が包含されて使われており、「評定あって評価なし」と揶揄されることもありますが、それぞれの用語の不適切さと不正確さにこの原因があります。「評価」は、教育を点検することであり、「評定」は学力を測定することです。つまり、各学校で作成する通知表に表記するものは「評定」になります。それでは、「評価」はどうするのでしょうか。教育を点検するため、学習指導の途中において実施し、それまでの指導内容を学習者がどの程度理解したかを評価します。教員はこの評価結果を元に指導の計画を変更し、理解の足りない部分について、あるいは理解の足りない学習者に対して補充的な指導を行います。これが、『指導と評価の一体化』ということになります。PDCAサイクルを使うと、学習計画がPlan、学習指導がDo、評価がCheck、指導改善がActになります。この学習指導により、児童生徒に学力が身に付いたか測定するのが「評定」になります。つまり、教員の学習指導の成果とも言えるのです。
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いじめとネット炎上

雇用や福祉におけるセーフティーネットが不十分な現在の日本では、一度失敗すると再チャレンジする機会はほとんどありません。多様な生き方を選択することができず、失敗が許さない社会の中で生きていれば、他人の失敗を許せる心の余裕を持つことのほうが難しいのかもしれません。さらに、正義を盾にしたマスコミも失敗した人に対する報道を当該者が廃人寸前いなるまで書き続けます。対象が公人や芸能人だからといって、その人の今後の人生をも奪うような精神的なダメージを与えていいはずがありません。ネット上においては、匿名性もありさらに悲惨な状況になり炎上が頻繁に起こるのが現代の特徴です。
このような社会を子供たちはとても冷静に観察しています。そして、忠実にその言動を学級の中で再現していきます。もちろん、全ての子供が自己実現できる学級経営ができていれば、このような事象は現れません。しかし、規律が乱れ自己実現できないストレスが増えると、友達の言動に対する失敗を集団で責めたりわずかな違いさえも拒絶したりすることで、不寛容な空気が学級に満ちていきます。そして、これが継続的に行われればいじめになるのです。
マスコミの取材やネットに書き込む行為は、将来を担う子供たちの見本になる行動なのか、一人ひとりの大人が真剣に考えなければいけない時期だと思います。
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文部科学省は教員の長時間勤務を改善できるか

教員の長時間勤務の改善策を検討している文部科学省とスポーツ庁は6月13日、部活動に休養日を設けることなどを柱とした報告書をまとめました。報告書は部活動について、責任感や連帯感を高めるなど「教育的側面での意義が高い」と評価しつつ「行き過ぎた活動は教員、生徒ともにさまざまな弊害を生む」と指摘。生徒の健全な成長を促す観点からも大胆な見直しが必要だとして国、教委、学校が取り組むべき課題を挙げています。報告書はこのほか、給食費など学校徴収金の徴収・管理を自治体が担ったり、教員の事務を補助する「業務アシスタント」(仮称)を学校に配置したりするなどの負担軽減策も盛り込みました。
しかし、この報告書のとおり改善されたとしても、教員の長時間勤務は残念ながら改善されないでしょう。まず、部活動は積極的に指導している教員が多くいるため、この対策による超過勤務時間の短縮効果は限定的だからです。また、学校徴収金の事務を自治体が行うにしても、わずかな効果しか見込めません。それでは、教員は何に時間を使っているのでしょうか。それは、文部科学省や教育委員会からの照会や依頼に対応する事務仕事に多忙感をもっています。加えて生徒指導に関わることや保護者対応が重なると、精神的な負担も重なり疲労度の高い時間外勤務になります。生徒指導や保護者対応は、教育活動の根幹となるため、確実に時間を確保しなければならないので、文部科学省や教育委員会からの仕事を見直すことが一番効果的な改善策なのです。文部科学省や教育委員会は、教育現場にとって良かれと思う施策を学校に依頼しますが、その効果がほとんどないものもあります。行政組織である文部科学省と教育委員会の自己改革こそ、教員の長時間勤務を改善する特効薬なのです。
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就職活動におけるグループディスカッションをご存知?

6月1日から2017年4月に採用する学生の選考活動を大手企業が始めました。今年も売り手市場のようで、内々定をもらった学生は5割を超えたようです。さて、教員の皆さんはグループディスカッションという言葉をご存知でしょうか。グループディスカッションは比較的最近になって採用過程に登場した手法です。では何故新たに登場してきたのでしょうか。それは、従来の筆記試験、個人面接、集団面接では把握できない面をグループディスカッションで把握する事を企業側が期待しているからです。その主なポイントは「協調性」「リーダーシップ」「傾聴力」と言った対人能力です。つまり、個人単体ではなく、他の人間と関わった時にどういう態度であるか、これを見るためにグループディスカッションは存在します。このような力は、一朝一夕では身につく力ではありません。まさに義務教育の初等教育段階から、対人能力を身につけていく必要があります。そうは言っても、新しい教育を始める必要はありません。今までの学習活動を振り返っていただければ、班活動やグループ活動を通して、様々な課題を解決できるように指導していると思います。その積み重ねによって、身につけた対人能力が就職活動時に評価される事実を指導者が知っていることが大切なのです。教育とはすべて忘れた後に残っているものです。日々の先生方の小さな教育実践が目の前にいる子供たちの未来の力になるのです。
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教育ICTに潜むデメリットとは

1.指導者の技能格差により授業格差が広がる。これは授業力がある人は効果的に活用でききますが、力のない人が使うとICTを使うことが目的となってしまい授業の本質を見失ってしまう可能性があるからです。もちろん、指導力のない人が教員をしていることが問題の本質ではありますが、実態として看過できないためデメリットとして敢えて提起しました。
2.視覚情報過多による想像力低下。これは、教育ICTは情報伝達ツールのため、視覚による情報伝達量が圧倒的に多くなるため、聴覚のみの情報から状況を想像する力が低下する可能性があるからです。特に小学校低学年においては、五感を使った体験型授業を心がけてほしいと思います。
3.教育費用の増加。これは、説明不要だと思います。ハードとソフトのイニシャルコストとランニングコストが必要だからです。もともと、教育ICTは総務省が平成22年度からフューチャースクール推進事業として音頭を取ってきた経緯があります。文部科学省でなく総務省が進めたのは何故でしょう。それは総務省は通信業界と結託しているからです。事実、総務省の天下り先に通信・電機業界が名を連ねています。莫大な国家予算と地方予算が必要な事業を総務省の天下り先を確保するために利用された事実を忘れてはいけません。
最後に一言。便利になることで、何を失うのか、この視点を持ち続けることが大切です。
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日本の教員は自信と誇りをもとう

国公立学校での平均学級規模(2002年)は、初等教育28.7人、前期中等教育 34.2人であり、OECD平均を上回っており、日本はOECD加盟国中もっとも高い国の一つです。また、学力格差は経済格差によるものだと言われている現在、政財界は格差解消の具体的な手立てを講じることなく放置状態ですが、負の影響を受けている低学力層に対しても学校教育はきめ細やかな指導を行っています。このように限られた人的配置の中で、現在、最大の成果を上げているのが日本の学校教育であり、限られた指導時間の中で効率良く指導内容を児童生徒に定着させる技術は世界にも類を見ません。この事実から、学校の教員はもっと自信と誇りを持ってほしいと思います。低学力層に対する学習指導やいじめなどの生徒指導、そして今日的な課題である国際化や情報化に対する指導など、多くの課題がありそれを学校教育に解決を依存している社会構造そのものが最大の課題なのです。この課題は、学校教育で全てを解決することは不可能で、家庭や地域社会、そして経済界も一体となって課題解決を図ることが何よりも大切です。責任は学校や教員にあると言うのは簡単ですが、それは言っている人たちの責任放棄です。社会を構成する私たちにできることは、課題解決のために自分たちにできることを真剣に考えて、今日的な教育課題の解決を図ることです。そのような真摯な態度を間近で見ているのが次代を担う子どもたちなのですから。
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フィンランドのいじめ防止プログラム

日本では、いじめ防止対策推進法が平成25年6月に公布されましたが、いじめを未然に防ぐためには道徳教育を充実させるという従来どおりの手法が示されているだけで、いじめが発生した時にどう対処するか、その対処方法に重きが置かれています。もちろん、いじめはどのような学級でも起こりうる事象なので、その対処も大切ですが、やはり未然に防ぐための知識と行動化を促す指導も大切です。いじめ対策のために指導計画を立て、年間を通して実施している学校もありますが、その実践は一般化するレベルには達しておりません。
話はPISAで優秀な成果を出しているフィンランドに移ります。少人数によるきめ細やかな教育指導を実施しているフィンランドにおいてもいじめはあります。しかし、フィンランドでは、全国規模でいじめ対策の「KiVa プログラム」を実施しています。「KiVaプログラム」の効果として、いじめの減少、さらには児童生徒の不安・抑う つの低下、対人関係の改善などが確認されています。文部科学省にこのようなプログラムの作成を期待するよりも、各学校でこのようなプログラムを計画的・系統的に実施することで、いじめ防止に力を入れてください。
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Q-Uで学級診断

学級の状態に異変を感じても、何が原因なのかわからないことはありませんか。教材研究を十分に行い、子どもの興味のあるネタも準備して授業に臨んでも反応は全くない。真面目な教師によくある空回りで、努力が報われず徒労感が残り、さらに学級経営における課題の解決策を見つける力も落ちていきます。このような時に、客観的に学級の状況を判断できるのがQ-Uです。学級集団の状況と個人の状況を診断できるので、学級に対する指導方針と個人に対する指導方針を計画的に立案できることが最大のポイントです。教員養成課程では、学級集団の運営方法について学ぶことが必須ではなく、これまで、教員の経験値に依るものしかありませんでしたので、アドバイスする人によって対策案が異なり、どの対策を実行したらいいのかもわからなくなってしまいします。そのアドバイスの1つを実行したとしても的外れなことであれば、やはり徒労感しか残らず学級を建て直す力も削がれます。ぜひ、効果的な対策を立てるためにQ-Uを活用してください。詳しくはこちら(図書文化社のページ)
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五月病を防ぐ3つのヒント

五月病は、新しい環境に適応するためのストレスや疲れからくるものだと考えられます。そこで、環境に適応しやすくするためのヒントを3つ紹介します。
①6月に達成できる目標を設定
これは、学級の課題を洗い出して生徒と共に目標設定することがポイントです。もちろん、目標達成できた時に、どんな祝い方をするか含めて決めましょう。
②4月からの成長したことをフィードバック
これは、教員の腕の見せ所です。この連休中に四月からの生徒の成長記録を作成してください。それを生徒に手紙で渡しましょう。日記指導をしている場合は、コメントの中に改めて1ヶ月間の成長をフィードバックすると、生徒にとって大きな励みになります。
③やっぱり日々の優しさと励まし
生徒の変容を看取る力量こそプロの教師です。表情の冴えない生徒はすぐに見つけられますが、淡々と生活している生徒の中に不安抱え込んでしまう生徒がいるのです。やはり、一人ひとりの生徒の様子を多くの教員と共有し、適切な支援ができることが五月病を防ぐ最大のポイントだと思います。
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部活顧問の課題は本質的な解決を

部活動の顧問をめぐり、特に中学校の教員による署名活動が報道され、その問題が広く知られるようになりました。署名活動をしている教員の主張は、顧問をするかしないかの選択権を与えて欲しいということですが、この権利が与えられても本質的な問題の解決にはなりません。部活動を望む生徒と課外活動を通して生徒の人格形成に寄与する教員の使命との最適解を探す必要があります。現在、各種目の体育連盟の関係者が教員中心に構成されている以上、教員が中心となりながらも、時間外や休日の部活動をサポートする人材を地域から求めることが必要だと考えています。もちろん、無給ではなく学校のPTAや教育委員会から活動支援をする体制を構築することで、持続可能な部活動を目指すことが最適解ではないでしょうか。現在、文部科学省ではコミュニティ・スクールを推進していますので、このような制度を地域とともに構築することが課題解決のカギになります。学校の課題を教員だけが抱え込むのではなく、地域とともに子供を育てる発想の転換が大切です。
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組体操の禁止による損失とは

組体操を教育委員会が禁止する動きが出てきています。高層ピラミッドやタワーが崩壊した場合の危険性を考えると方向性としては間違っていないと思います。しかし、この問題の本質は、児童生徒の体力の現状を把握し、組体操を通して目標達成まで導く教員の指導力が低下していることです。児童生徒の実態を十分に把握することなく、10段ピラミッドを毎年取り組んでいるから今年も例年通り体育祭や運動会で取り組もうという安易な決定をしていることが問題なのです。このような教師集団は一事が万事、例年通り、同じ指導方法で児童生徒に教科指導をしている可能性があります。教科指導は、指導する内容は同じでも指導方法は児童生徒の実態に即して変えるものです。児童生徒の実態把握は教育者としての基本的な技能ですが、組体操を禁止にすることでその機会が失われることが損失だと思います。
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教育格差と自由主義経済

教育格差という言葉が聞かれるようになったのは、国民の平均所得が1997年以降減少しはじめ経済格差が広がってきた2000年代後半ごろからです。徹底した自由主義経済による考え方は、所得の多少は自己責任であるとして富の再分配の平等には反対します。この考え方が教育現場に持ち込まれると、勉強ができないのは自己責任であるという自己否定的な価値観が埋め込まれてしまいます。本当は、格差社会を改善させる政策を進めない国政に責任があるにもかかわらず、将来の日本を担うはずの子どもたちに責任を転嫁しているのです。現在の安倍政権も自由主義経済を推進しているため、政策転換をしない限り、今後も教育格差は広がることでしょう。夢のある未来を描くことのできる社会をつくるために現状を変えることができるのは、国政選挙で経済格差を是正することをマニフェストにあげている政党に投票することです。大手企業や超裕福層だけが富を独占する社会を私たちは望んでいませんから。

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小学校英語の教科化の準備を

2020年度から小学5、6年生で正式な教科となる英語について、小学校中学年では、学級担任がALTや英語が堪能な外部人材とのチーム・ティーチングを行い、高学年では、専科指導を行う教員(学級担任が英語力を高める場合も含む)による専門性を重視した指導体制を構築すると言われています。
文部科学省は、小学校段階から「聞く、話す、読む、書く」の4技能を総合的に育成する必要があるとして、教科として指導する考えですが、指導する教員の指導力向上に対する方策が全く語られていません。おそらく移行期間中に英語指導の中核教員を各学校から集めて研修して、そのノウハウを持ち帰り所属する学校で教員研修を中核教員が開催すると考えられます。しかし、そのような短期的な研修で英語の指導力が向上するはずがありません。今から、小学校教員は自己研鑽の一つとして英語の指導力向上に取り組まなければなりません。自信をもって子どもたちに英語を指導できる力を今から計画的に身に付けて下さい。
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学級通信のすゝめ

学級通信の目的を明確にすることで、継続的な発行ができます。私の場合、教育活動全体を通して成長した子どもの事実を子どもや保護者と共有するために週一で発行していました。学習の記録だけでなく休み時間や掃除の時間などで素敵な人との関わりができたことを取り上げていました。すると、日常の些細な出来事や子どもたちの変化にも気づけるようになります。教師の子どもたちを見る眼も自然と鍛えられるのが学級通信の副産物だと思います。無理のないペースで、定期的に発行してください。
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